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第1話  変化

処女作の1話目ですので、温かい目で見守って頂けると幸いです。




           



私の名前は雨月凛。数時間前までは男子高校生だったが、急に体から光の粒が出始めて、焦った私はすぐさま親に知らせて、病院に行った。そこで先生に性転換現象、略してTS現象もしくはただ単にTSとも呼ばれるそれは基本女性の方に起きるもの。個人差はあるのもの、基本1時間から3時間で完全にTSする。そして、一度始まれば何をどうしようと絶対に止められないし、不可逆的な現象である。TSして手術などで元の性別に戻ろうとしても、手術が終わった途端に再びこの現象が起きてしまう。そのあまりのおかしさにどこかの誰かさんは神が男女比率を調整してくれたなどと言うが、ならはじめから男として生まれさせてこいよと思う。


だけどもし、本当に神とやらがこの現象を引き起こしているとしたら私は一生をかけて呪い続けてやる。そしてあの世に行ったら真っ先に殴り込みに行ってやる。


閑話休題




しかしこの現象は世界的に見たときにはとてもありふれてはいるものの、東アジアでは非常にまれな上に男が女になるケースはTS現象全体の0.001%しかない。つまり十万件に一件しかないし、この国で今まで確認されたTS現象はたったの622件(私で623件目)で、男が女にTSしたのは私が始めてだと言う。



この国でのTS現象はすくないが、世界的にはよくあること。男から女になる例も0.001%だとしても、世界には数十億もの人々が生きてるわけだから、それなりには存在する。現象自体は不可逆的で未解明のことも多いが、TSした人々は特に身体的になにか欠陥が生じるわけでもない上に、元から障がいを持っている人ならTSしたことによって完全な身体を持つ事になった事例もある。



あれから両親が先生と色々話をしてる間に私は各種検査をした。特に異常はなかったが、男から女になったことで骨格と各種器官がすこし異なり、しばらく違和感を感じるかもしれない。幸い先週から夏休みが始まったばかりだから、家でゆっくりと慣れて行けばいい。検査と説明がおわったら次の定期検査の日時を決めて、きたくした。そしてわたしが女の子になってしまったからそのことで家族会議を開くことになった。



「「「..........................」」」

うん、気まずい。




「凛はどうしたいの?」

あ、お母さんが単刀直入できた。

しかし、どうしたいって.......


「うーん。どうしたいって言われてもなー」

いきなり女の子になって、どうしたいって言うのはないし、特にショックが大きい訳でもないから、女の子として生きて行きますって答えればいいのかな?



「私は別にどうしたいっていうのは特にないかな?.......それよりも戸籍と学校はどうなるの?」


そう言うとお母さんが困った顔をした


「凛は性別変わってなんとも思ってないの?大丈夫なの?この国ではTS現象は稀だから、それに凛の場合はもっと........」


「うーん。戸惑いはあるけど、別に死んだわけでもないから大丈夫だよ」


「うーーん」

そう言うとお母さんが唸り出して、困った顔をした。


「まーまー。凛も気にしてないみたいだし、いいんじゃないか?」

と、父が助け舟を出してきた。

ていうかいいのか。



しばらくお母さんがうーんと言いながら一人で考え込んでいたが.....

「はぁ〜。じゃ、凛はこのまま女の子として生きても構わないってことでいいの?」


「構わないというか、戻れないわけだし、このままでもいいかなって。」

この現象は不可逆的なものだから、TSしたらもう元に戻るのは諦めて生きていくしかない。


「はぁ、本人もそう言ってるわけだし......いいかな」

お母さんも納得したみたいだし、今日はもうお開きでいいかな?


「それじゃ、凛。」


「うん?」

まだ、なにかあるのかな?


「今日はもう遅いから、明日からは凛に女の子の心得的なものを教えて行くわよ。」


「え?」


「え?じゃないわよ。女の子は男の子に比べて色々大変なのよ?特に凛の場合だとその胸が問題ね。」

そう言うとお母さんは私の胸を指した。胸がどうしたのだろか?サイズはたしかにお母さんよりもあるけど......



「胸が大きいと谷間ができるでしょう?それと胸の下の部分も皮膚と皮膚がくっついた状態になるよね?」


「うん」


「その状態で汗をいっぱいかき、それをずっと放置したらどうなる?それをいつも繰り返したら?」


そう言われて、気づいた。


「わかったみたいだね、まぁ、胸の心配事は他にもたくさんあるけど、一番大事なのはね......」


「なのは?」


「月のもの.....生理の事ね。病院の先生から聞いた話だと男の子から女の子になる人って初潮が一般的な女性に比べて出血が数倍多い上に、痛い。それに数年は一般的な女性より出血量が多い上に周期の管理も大変だと言っていたわ。」


「数倍!?」

あの痛みよりも数倍多いの!?


一応説明しておくと、このちょっぴり魔法のある世界では男性も擬似的に女性の生理痛を体験でき、さらに妊娠期間中に起こりうる生理現象も体験できる。中学と高校の保健体育で基本どこの学校でも行われている。当然女性が男性のアソコを攻撃された時の痛みも擬似的に体験できます。



「だけど、これらの事は身体的なことだから、なんとかはなるけど、それよりも心配なのはあなたの社会的地位よ。」


「社会的地位?」


「ほら、TS現象は世界的に見ると溢れているけど、この国ではかなりのレアケースで、さらに凛は男性から女性にTSしたわけだから、もっと稀な存在になるの。人は自分達と違う者を攻撃したがる生き物なんだから、差別を受けてしまうかもしれないってこと。」


あー、そういうことか........それは嫌だな。


「だから、凛。.....女性として、今の生活を続けるか、それとも違う所に引っ越して新しい生活を始めるかを決めなさい。」


確かに新しい所に引っ越せば男時代の私を知る者はいないから、簡単に溶け込めるかもしれないけど。

でも、17年間ずっとこの街で過ごしてきて、保育園からずっと同じ所に通って来た奴もいるし、離れるのは嫌だな。

でも、もし受け入れてもらえなかったらどうしよう?


「........................」


「........学校が始まるまでにゆっくり考えなさい。まだ時間はあるから。だけど凛、あなたがどの道を選んでもママとパパはあなたの味方だからね?」


「..........うん」




読んで頂きありがとうございました。

満足して頂いたら幸いです。


次話は本日中に投下します。

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