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【番外編】アマビエさん、知恵に敗れる
「なに」
「え?」
アマビエさんと事務の子が、同時にモニターを見る。そこには、雨の中を全力疾走する宇宙人がうつっていた。
「どうしてあんなに急いでいるの?」
「もうすぐ雨がやむからですよ」
クタベさんに、僕は答えた。
「え?」
「まあまあ、見てればわかりますって」
センセイがようやく動きを止める。そこには不思議な光景が広がっていた。やや小降りになった雨の中に、ちらちらときらめく炎が踊っているのだ。
「なにあれ、水の中に炎?」
センセイは迷うことなく、その炎に向かって網を振った。ぼすっ、という音がして、踊っていた炎が消える。




