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【番外編】アマビエさん、世間知らず
「ない」
まだ白い顔をしながら、アマビエさんは首を振った。
「ええ……」
「ないかもしれませんねえ。アマビエさんのおうち、平屋だったし」
「うちに来た時も、運動がてら階段を使ってもらってました」
この前エスカレーターで大騒ぎしていたから、エレベーターのことを説明しておけばよかった。僕の失策でもある。
「もう、次回は大丈夫である」
「そう願いたいわ」
「じゃ、帰りに乗ってみましょうね」
アマビエさんの手を引きながら、薬局長が優しく言った。
「はいはーい、みんなこっちですよう」
センセイに伴われて、僕たちはお宅にお邪魔した。




