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【番外編】アマビエさん、ポージング
「うわあ」
ようやく足を踏み入れたエントランスにもシャンデリアがかかり、色とりどりのバラが飾ってある。僕らの住むマンションとは、似ても似つかない空間がそこにあった。
「なんで僕の友達って、お金持ちばっかりなんだろう……」
「自分と比べちゃダメだよ、お兄ちゃん。あれくらいじゃないと」
妹に肩をたたかれる。彼女が指さす先では、アマビエさんがバラに顔を寄せていた。
「アマビエとバラ……美しいのはどっち?」
白雪姫の継母然とした台詞とともに体をくねらせていた。感心はするが、ここまでのメンタルにはなりたくない気がする。




