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【番外編】アマビエさん、うっとり
厨房が動き出す。薄切りチャーシューをびっしり載せた、醤油豚骨スープの特そばが出来上がった。
「お待ち」
盆に載せた丼を、アマビエはしっかりした手つきで受け取る。箸も使えるようだ。
「そのまま食べるのか」
「スープに絡めてね。こんな感じで」
男性の食べ方を、アマビエは素直に真似した。
「…………」
食べたまま瞳孔が開ききっているが、大丈夫か。
「…………」
「あ、動いた」
動き出したアマビエは麺をかきこみ、半分ほど食べ終えた時点でこう言った。
「今後六年間は豊作が続く」
「?」
「……最大級の褒め言葉なので、お気になさらず」




