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【番外編】アマビエさん、手をつなぐ
「自分の体をな?」
「はい」
「縦に引っ張り上げるのとな?」
「はい」
「横に移動させるのは違うんだよ」
「そんなもんですかねえ」
アマビエさんの目が血走ってきたので、そういうことにしておこう。
「あ、電車来たよ」
「おおおおお」
巨大な鉄の塊がホームに入ってくると、またアマビエさんがおののいた。
「はい、乗った乗った」
僕と妹が素早く動き、片方ずつアマビエさんの手をつかむ。
「今度こそ本格的に腹の中……」
「ドアに片足かけたままプルプルしちゃダメですよー。閉められないから」
アマビエさんの体をようやく押しこみ、電車は動き出した。




