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【番外編】アマビエさん、お休み中
「でも、バスから降りた後はどうする。起きなかったら?」
アマビエさんはいびきまでたて始めている。ちょっとやそっとで起きそうにない雰囲気だ。
「うちに連れて帰ってあげればいいじゃん」
「そこまでしなくていい。妖怪なんだから、放っておいても死なない。自分で帰るだろう」
妹とアマビコさんから、正反対の意見が出た。どちらの言い分にも一理あり僕は悩む。
「……あーあ、気持ちよさそうに寝ちゃって」
涼やかな声がした。僕はとっさに顔を上げる。
イケメン。
もはや使い古された言葉だが、こうとしか言い様のない男がそこにいた。




