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【番外編】アマビエさん、庭園に入る
「さっさと行こう」
これ以上自分に都合の悪い展開を避けたいのか、アマビエさんは早足になった。
「あ、見て見て。お庭があるよ」
「確かに、日本庭園と公式に書いてます」
急ぐ道中でもないので、僕らは寄ってみることにした。ゆったり間隔をあけて植えられた樹木の間を、散歩道が通っている。
季節は春。桜の薄桃に富士の紫、松の緑が目に鮮やかだ。人が少なく、余裕をもって見られるのがありがたい。
「映えと映えの融合」
アマビエさんはさっそく桜の横に陣取って、写真をとってもらっていた。慣れているため、ポーズを決める姿が堂に入っている。




