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アマビエさん、気遣いが仇に
「形が違うんですけどね。思い込んじゃうと、なかなかそこから抜け出せない」
「我は見てすぐ気付いた」
「患者さんにとっては馴染みじゃないから分かりますね。恥ずかしい話だな」
薬局長は頭をかく。僕はふと、あることに気付いた。
「中身は確認しなかったんですか? ここでは絶対喋っていくのに」
「薬剤師が一人しかいないみたいでな。忙しそうだったから、ろくに見ず帰ってきたのだ」
アマビエさんの優しさが、仇になってしまったのだ。
「一人薬剤師か。それならより、気付きにくいね」
【薬局あるある】一人しかいないケースも少し……結構ある。




