131/510
【番外編】アマビエさん、達人と化す
アマビエさんの目にもはや怒りはなく、晴れた日の太平洋のように凪いでいた。格の違いが、僕らにもはっきり分かる。
「くそっ……これが、天才と凡才の差か……」
「ふははは」
今度はアマビコさんが、自信を失って崩れ落ちた。人間たちはことの納め時とみて、目配せを交わす。
「まあ、一勝一敗同士ってことでいいんじゃない?」
「そうそう。どっちもいいとこがあるってことで」
「僕らにとっては、お二方ともありがたいですよ」
アマビエさんとアマビコさんは、無言でにらみ合った。
「まあ」
「今日は」
「そういうことにしておくか」




