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【番外編】アマビエさん、覚醒
「ふはは! 見よ、この動き!」
アマビコさんは、三本の足をフルに動かしクロールのように泳ぐ。プロでも追いつけるか分からないほどの速度で、五十メートルを泳ぎ切った。……周囲から悲鳴があがるほど怖いが、腕前は見事である。
「アマビエ! やはり偽物だな!」
「……あのう、アマビエさんはもうゴールしてますけど」
「なぬ!? そんなはずは」
上から見ているとよく分かる。水しぶきをあげるアマビコさんに対し、アマビエさんは潜ったまますいすいと滑るように動いていた。
「水の流れに逆らわぬ……ならば、余計な体力を使うこともない」




