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【番外編】アマビエさん、怒る
「……しぬ」
「キツそうだから、アマビエさんはお休みしよっか」
アマビエさんは、妹に抱きついて震えていた。
「しかし不思議ですね。海で生きているのでしょう? 泳ぐための筋力は、どうしているのでしょうか」
センセイが疑問を呈する。言われてみれば、その通りだった。
「海藻のように、頼りなく揺れているに決まっている」
「プール、行く」
「おう。望むところだ」
アマビエさんの目に光が戻った。階段を降り始める。
「ああ、待って……」
全員で追いかけた。泳いでいたおばさまたちが、ぎょっとして固まるのをよそに人外たちは水へ飛び込む。




