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【番外編】アマビエさん、歩く
僕は立ち上がった。
「私が通ってるジム、一回行ってみる?」
「そうだな。いい気分転換になるかもしれないし」
いつまでもアマビコのことで怒っていても、気が滅入るだけだろう。体を動かせば、カロリーも消費できて一石二鳥である。
「ええー……」
食べ物屋と違って、アマビエさんはあからさまに嫌がる。みんなで囲んで、ようやく家の外へ連れ出した。
「へい、タクシー」
「ダメです! 戦いはここから始まってるんですよ」
たかが十数分の距離を厭うアマビエさんの背中を押して、僕たちは坂道を登った。妹たちが先導し、僕が殿をつとめる形になる。




