表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

336/366

第9話:俺と、反攻の一戦(1)

 ということで早速決戦です。


 いざ、憎きテセオラを討果(うちはた)し、カルバを地の果てまで追い落としてやろうぞっ!! ってな気分での総攻撃でした。


 旧来の4000に、援軍2000を加えての総攻撃です。敵さんはすでに1万を超えていそうでしたが、その多勢に対して夜明けを待って果敢(ゆうかん)に打って出たのでした。


 で、はい。その結果はと言いますと、


『ひ、ひぃぃっ!?』


 あかん、悲鳴が漏れちゃう。


 まだ朝焼けの余波が残っていて、俺の視界には赤らんだ空が広がっているんだけどね。そこには無数の飛影がありまして、その全てが俺を追っていまして。


「ちょ、ちょっと!! なにこれ、ちょっと多すぎでしょ!!」


 背の娘さんもまた悲鳴でした。ですよねー、叫んじゃいますよね。この状況はちょっと以上にしんどいです。そして、さらには腹の立つもんであったりしまして。


『はっはっは! 強者との別れは辛いが、いずれ訪れるものであればな!』


 楽しげな声と同時に、ちらりと視界に映るものがありました。


 それは金色のドラゴン、テセオラです。アイツは喜々として俺と娘さんを包囲する輪に参加しているのですが……まぁ、うん。この状況だったら、あぁもなりますかね。


 で、問題の結果です。俺たちが総攻撃をかけての結果であり、現状ですけど。


 全軍、きれいに敗走中でございます。


 鞍無したちに騎手勢がきれいに蹴散らされる形でですね。上空の支援を失った地上軍と一緒に、そろって一目散に後退しているのです。


 よって、敵さんも調子に乗ってくれているわけです。


 援軍が合流したのは当然敵さんも知るところであったのですがね。警戒をしてもいたのでしょうが、当たってみればこの手応えのなさ。せっかくだし、ここで壊滅させてやろうやって勢いづいていらっしゃるのです。


 本当、マジしんどい。ですが……ふーむ。


 大立ち回りの最中に、再びテセオラの様子が視界に映ります。なーんか楽しそうですが、うん、ムカつく。でも、悪くない。


 やっぱ戦歴が薄いってことなんだろうね。良いことでした。この敗走が本物なのか、それとも敗走をよそおった何かって見分けがついていないみたいですねー。


 ◆


 ということで、全部作戦なのでした。


 念頭にあったのは、やはりいかにテセオラを墜とすかということです。


 普通に戦えば、あの冷静な慎重者のことですから。深入りなんて期待出来なければ、追い詰められる前に逃げられてしまうことは想像に難しくありません。


 なので、この敗走なんですよね。


 肝はアレクシアさんの率いてきた援軍です。敵さんにすれば、これは警戒の的なわけです。始祖竜を擁しているものの、戦況を変えうるものなのでは? って不安に思っているはずだったのです。


 では、はい。その援軍が、思ったよりも数が少なく、さらには手応えの無いものだと知ったら敵さんはどう思うのか?


 そらもう安堵に安堵でしょうとも。その視界に広がるのがこの光景なのです。援軍が合流したからと、調子に乗って攻めかかってきたボンクラどもが惨めに敗走する光景なのです。


 じゃあ、この機会に殲滅しちゃおっか?


 そう思うに違いなく、現実にこの状況です。テセオラも常ならぬ様子でした。勝利の予感に前のめりって感じです。強敵とした俺と娘さんを、喜々として追い回してくれています。


 ばーか、って感じですが、そろそろですかね? 反撃はそろそろかなって感じで。


「来たっ!」


 娘さんが叫ばれましたが、そのようです。地上から複数の騎竜が上がってきました。伏兵的なポジションで待機されていた、ハルベイユ侯領の騎手たちです。


『ふむ? まだいたか? かまわん! 残らず討果せ!』


 テセオラの叫びでしたが、やっぱ勝利の予感に酔っているかんじだなぁ。普段のアイツであれば、冷静に様子を見ようとするところでしたが。


 ありがたいことこの上ありません。


 上がっている騎手たちは普通の騎手たちありませんからね。手には魔術封じの槍を持ち、何よりあの黒竜としのぎを削った勇士たちなのです。


 その先頭はクライゼさんでした。


 サーバスさんの抜群の馬力をもって、瞬きの間に弧を描いて上昇。俺たちの空戦に参戦されまして、


「……本命とは違うが」


 仕方ないって呟きを発せられました。本当はテセオラを狙いたかったようですが、取り巻きが邪魔であれば仕方ないのでその取り巻きをって感じですかね。


 槍が振るわれます。


 鞍無しの一体、その腹部にすれ違い様に一閃。悲鳴が響きました。異常な悲鳴が響きました。


『ぐっ!? これは……な、なんだ、これは!?』


 さぁて、反撃の時間ですよー。


 敵勢に動揺が走ったところで、俺たちに近づいてくる飛影がありました。それはラナにアルバですが、その赤竜の口には魔術封じの槍がくわえられていまして。


『と、飛びづらいっ! さっさと取れっ!』


 不満たっぷりでしたが、ともあれ秘密兵器のデリバリーでした。今までの釣り槍はアルバにくわえてもらいまして、娘さんはラナから槍を受け取ります。


「ありがとうっ! じゃあ一度戻った上で、また上がってきてっ!」


 今回は総力戦ですからね。釣り槍を地上に下ろした後には、2体にもがんばってもらう予定でした。


 ともあれ、ラナたちが地上に向かい……さーていよいよです。


「急ぐよっ!!」


 ガッテンということで、俺は言われるがままです。そりゃ急ぎますとも。ここでテセオラを無事に帰せば、末代まで後悔出来そうですし。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 釣り野伏せとはノーラもなかなかやりますね...(*^^*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ