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第25話:【ラナ視点】なんか嫌な予感(2)

 大きいヤツは笑みで口を開いた。


「あらたまって何かな? サーリャ殿の問いかけであればな。なんでもいいぞ、聞いてくれ」


「ありがとうございます。その、蒸し返すようで申し訳ないのですが……周囲に誰もいないので尋ねさせていただきます。お二人は恋仲にあるのですよね?」

 

 ちょっと頭を上げちゃう。恋って恋? 人間のことなんざどうでも良いけど、それでもちょっとワクワクって言うかそんな気分になるような。


 しかし、なにコイツ? なんでいきなり恋の話なんてし始めたのか。なんか嫌な予感がするわよね、なんかね。


 大きいヤツは笑みのようなそうでもないような表情で口を開いた。


「……ふふ。これはちょっと不意打ちだったな。そうか、サーリャ殿が聞きたいことはそれか」


「す、すいません。妙なことをお聞きしまして」


「ははは。こんな時にはと思ったが、そりゃ気になるだろうからな。いいぞ。貴殿の疑問に答えよう。私とレオニールの関係は前に話した通りだが、そこについて何か聞きたいことがあるのか?」


「はい。本当に妙な問いかけで申し訳ないのですが……辛くはなかったんですか?」


 まぁ、コイツのことなんて私にはさっぱりだけど、二人もそうなのかしらね? 大きいヤツともっと大きいヤツはお互いに見合っていた。


「……ふーむ。辛くか?」


「辛く……でしょうかな」


 サーリャは地上にいる時には珍しい顔をしていた。空にいる時は大体こんな感じなんだけどさ。鋭いって言うか真剣って言うか、そんな雰囲気って言うか。


「はい。辛くです。これってダメなことですよね?」


「まぁ、そうだな。身分差が大きいし、そもそも私は結婚相手を自由に選べるような身分ではないからな。王族とはそういうものだ」


「最初に思いを打ち明けられたのは?」


「また恥ずかしい話だな。私だ。コイツとは昔から色々と縁があってな」


「それが辛くはなかったですか?」


 大きいヤツは首をかしげたみたいだった。


「それが辛くか? 少し何を聞かれているか分からんが」


「それはダメなことですよね? それに決して周囲に認められることではありませんよね?」


「そうだな。幸いレオニールのヤツは受け入れてくれたが、かと言ってここから先は無いな。たまに密かに二人で会うぐらいが関の山だ」


「先の無い思いだったんですよね? それは辛くはなかったのですか? 認めるのは。認めてしまうのは。辛くはなかったのですか?」


 少し間があった。


 大きなヤツは、相変わらずの笑みか良くわからない表情で頷いた。


「そうだな。先も無ければ、周囲には決して受け入れてはもらえない思いだったからな。何かの間違いだとして認めがたかった時期は長かったな」


「ですよね? でも、認められたのですか?」


「ま、そうなる。仕方なかったからな。私の胸中にその思いはあったんだから。どうしようもないものとして受け入れることにした


「どうしようもないものとしてですか?」


「そうとも。世の中どうしようもないことは多いからな。父が若年で死に、国に混乱をもたらしたこともそう。妙なドラゴンが現れたせいで、バカ共に謀反を許したこともそう。今日もまったくな。とんだ横槍があったもんだが、どうしようもないことなんて世の中にあふれている。で、私はどうしようも無いこととして、自らの恋心を受け入れることに決めた。そういうことだ」


 大きなヤツが今度浮かべたのは多分笑顔だった。


「サーリャ殿が何を思ってこんなことを聞いてきたのかは分からんがな。何か参考にはなったかな?」


「……ありがとうございます。申し訳ありません。本当に妙なことをお聞きしまして」


「はは。よいよい。何でも聞いてくれと言ったのは私だからな。まぁ、レオニールには少し居心地が悪い話題だったろうがな。はははは」


 サーリャも笑顔に戻ったみたいだった。で、良く分からん表情で黙り込んだけど……なんかねぇ。


 正直、大きいヤツが何を話しているのかはいまいち分からなかったけどさ。ともあれサーリャよね、サーリャ。


 なんか胸がザワザワするって言うか。コイツ、なんか妙なこととかしないわよね?


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― 新着の感想 ―
[一言] そういや遅くなりましたが300話到達おめでとうございます。ついでに明けましておめでとうございます(^^)
[良い点] サーリャさんちょっと正直になるっぽい...これは逆にノーラが困惑しそうでもあるw しかしこうなるとラナはもうなんちゃって始祖竜同士でつがいをつくることをサーリャさんに認めさせたならあんが…
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