生徒会の日常1
キーンコーンカーンコーン…
授業の終わりを知らせるチャイムがなる。
「高橋ー!カラオケ行こうぜ!」
「ごめん…今日も生徒会あるから」
そう申し訳なさそうに伝えるのはこの学院の生徒会長、高橋 蓮。学院中の生徒から人気を集め、その上成績優秀、運動神経抜群というハイスペック。更には爽やかイケメン…。
赤くて綺麗な髪は道行く人の目を引き、タレ目気味の赤く優しい瞳は男女問わず堕ちてしまう。
そして能力はSクラス。誰もが認める学院の王子様。
「まぁ!男子ったらはしたない…高橋様がお困りになるでしょう?」
「なんだとー!?」
「そもそもあなた達は言葉遣いが…」
「まーまー、2人共喧嘩は良くないよ」
2人の間に入り優しい笑顔を浮かべる、まるで聖母のような(男だけど)のは生徒会会計の中城 雅也。
髪は夕日のような色をしており、瞳は黄色く少々ツリ目よりだが笑った顔は誰よりも優しい。
頭は悪くはないし、蓮よりも高い運動神経だ。
能力はAと少し劣るがその代わりに生徒会の誰よりも生徒に1番近い存在と言える。
女子と男子が喧嘩をしているのを雅也が止めている間にコソコソと1人、その場を後にした。
***
「はぁ…尊い…」
「美しいわ…」
「よし、今日こそ…」
2年3組ではうっとりしている女子や、決意を固める男子で溢れかえっていた。その原因は教室の真ん中で生徒会へ行く準備をしている3人だ。
「秋穂…」
不安そうに親友の顔を見るのは生徒会書記の西園寺 雫だ。
黒くて長い髪を少し高い位置でひとつにまとめ、大きくて真っ黒の瞳の少女。身長が低い事と目立つ黒髪がコンプレックス。
頭脳明晰だが運動は一切できない。その分を魔力で補う程だ。能力はSクラス。
ちょんちょんと秋穂の裾を引っ張る動作にまた周りの生徒からため息が零れる。
「どした?」
話を聞くために座ったまま動かない雫に顔を近ずけるのは生徒会広報、櫻木 秋穂。
明るめの茶髪を肩より少し長めに伸ばし、つり上がった紫の瞳は見ているだけで吸い込まれるよう…。
そして動作が全てにおいてイケメン。頭はよろしくないが、男子に混じっても問題ないぐらいには運動できる。
能力は最高のSSクラス。
「た…助けて…動けない…」
何を言ってるかは聞こえていないが中睦まじそうな雰囲気に女子がみな卒倒している。
「…またか?」
はぁ、とため息を付き、静かに雫を見るのは生徒会副会長の東雲 理人。海のように青い髪は毛先に黒く染めた後が残っている。少し長い前髪から覗く瞳は髪と同様の青色をし、更には頭脳明晰、運動神経抜群のSクラス。蓮に続き悪い所が見当たらない。
「強行突破するか」
「えっ…え?」
理人が雫のカバンを持つと歩き始める。
「ほーらっ生徒会遅れちゃうでしょ!」
秋穂はわざと周りに聞こえる声で言い、雫の手を引っ張る。
「ほんと、仲がよろしいですわね」
そのままノンストップで生徒会専用の棟まで行くと、中では蓮が1人で軽食を作っていた。
「おかえり!遅かったね」