バカは、きょうも努力する。
書き終わって読んでみるとタイトルから想像ができないような内容になってしまった。ちょっと長い気がしますが読んでくれると嬉しいです。
ある男たちは、笑いながら言った。
「敦也のやつまだ走ってるよ」
「毎日毎日勉強と運動ばかりして頭おか しいんじゃないか?」
「才能ないくせにな」
どれだけ努力しても学年一位が取れない。そんな俺をみんな才能がないだの何やっても無理だという。だが俺は、今日も努力し一番を目指す。なぜなら俺は、バカだからな!
高校二年生 酒井 敦也
頭脳明晰 運動神経抜群 向上心が高い
「はい、今日は、テスト返すぞ。有賀、今回もなかなかいいぞ27位、次、伊藤今回あんまり調子よくないな85位、次…」
俺の学年は、152人だ。
俺は、今回こそは、一位を取ってやる。心の中で自分に言い聞かせる。
大丈夫だあんなに努力したんだ今回こそは。
そして俺のライバル(勝手に思ってる)唐沢 友菜にかってやる。
「次、唐沢 うん今回もすごいな一位だ。」
また負けた。自分の結果を聞くよりも先に知ってしまうのも辛いものがある。
「次、酒井よく頑張っているな2位だ」
今回前回もそのまた前回もずっと2位のままだ。しかも全教科が2位なわけでは、ない全て10位以内に入っているがどれも一位が取れない。
唐沢は、全ての教科において一位を取っている。しかも容姿端麗、男子から人気だ。だが無口な性格なせいで付き合ったりしてる人は、いないらしい。
悔しい次は、絶対に勝ってみせる。
「あっちゃん今回どうだった?」
この俺のことをあっちゃんと呼ぶ男は、学校の唯一の友達の清水 光だ。そしてライバルでもある。
「また2位だったよ。全くどれだけ努力したらいいんだろうな。お前はどうだったんだ?」
「ふふふ、なんと123位だった。なんといい数字になってしまったんだろうか。よかったよかった」
「相変わらずの順位だな」
「まあな。しっかし友菜さんは、強いねー」
「次は、勝ってやるから見ててくれよな。お前にも負けないからな覚えとけよ」
「おうよー」
なぜこいつが俺のライバルなのかというとこいつは、頭は、まあまあ悪いが運動の才能がずば抜けているのだ。勉強以外に一位になろうと思っているのが運動だ。それを阻止するのがこいつということだ。
「さようならー」みんなが帰っていく。さてどうやって勉強しようかな。まず、今日はテストの見直しをしなきゃだから学校に残るとするかな。
「光、今日俺学校で勉強してくけどどうする?」
「じゃあ俺陸上部に混ざって走ってくるぜ」
光は、いろんな部活に勧誘された末たまに行くというとこでどの部活にも入らなかったらしい。
「じゃあ早めに終わらすから待っててくれな」
「わかった」
光と軽く手を振り合ってから別れた。
教室に戻ると静かだから誰もいないかと思ったが唐沢が机で寝ていた。
やっぱりじっくり見ると可愛いな。なんでこんなに寝てる女子に負けるんだ。才能ってやつが憎いぜ
俺は、顔を横に振って集中して見直すことにした。
今は7時30分 下校が5時30分くらいだったから2時間ほど経っただろうか。(今は8月)
突然ガタッっと音がした。した方を見てみると唐沢がびっくりした顔をしながらこっちを見ていた。
「おはよう。唐沢さん」
顔作って、明るく言ってみよう。
「あ、お、おはようございます。な、何をやってるんでしょうか?」
ずいぶん緊張してるな
「テストの見直しをしてたんだ。今回も勝てなかったからさ」
「そうだったんですね。わからないところがあったらなんでも聞いてください」
「わかった。じゃあここ聞いてもいい?」
「はい!ええっとこれは…」
完璧に教えられてしまった。それにしても何を興奮してるのだろうか。
「なんか嬉しそうだね」
「そ、そうですか?やっぱり気持ち悪いですよね。あはは」
乾いた笑いをして言ってくる。
「そんな事ないよ。俺は平等主義者だから気持ち悪いとかないよ」
そう、だから才能とかは、気にしない、一個人としてこの子を抜きたいんだ。
「そんな事言ってくれると嬉しいです。久しぶりに人と話したからなんだか嬉しくて」
「そうだったんだね。俺は、いつでも暇だから話しかけていいよ」
「ありがとうございます。あ、もうこんな時間だ。帰らなきゃ。どうしますか?」
「じゃあ一緒に帰ろうか。外に友達もいるから3人で帰ろう」
帰りながらどうやって勉強してるか聞こう。
「いいんですか!ありがとうございます」
光は、一人で楽しそうに走っていた。速くてよりいっそう燃えてきた。
「待たせたな光。帰ろうぜ」
「おう。いいぜ、ってなんで友菜さんがここに!」
「いろいろあってな」
「お、お願いします」
「今日は、ラッキーが続くな。やっぱり俺は、ラッキーだぜ」
「唐沢さんはどれくらい勉強してるの?」
「えっと1日2時間くらいだと思います」
「友菜さんめっちゃ勉強してるじゃんすごいね」
光からしたら多いのかもしれんが俺からしたら少ない。
「へーそうなんだ。どんな感じで勉強してるの?」
「教科書読んだり問題解いたりしてるだけだよ」
普通の事しかしてない。やっぱりすごいな
「友菜さんは、休日何してるの?」
「本読んだりお菓子作ったりしてます」
「友菜さんのお菓子食べてみたいなー」
「いいですよ。少し照れますけど…」
可愛いなオイ
「じやあ今度遊びにいこっか」
「じゃあライン交換しよー」
「 じゃあ俺も」
「い、いいですよ。初めて交換します!」
「じゃあ友菜さんの初めての友達だね俺たち」
「と、友達!う、嬉しいです」
照れるともっと可愛くなるな
駅に着いた。
「じゃあ帰ったらラインするね」
「俺もするよ」
「ま、待ってます」
家に帰ってきた。
「ただいま」
小さな声でそしてすごくテンション低く言って入る。そのまま誰とも会う事なく自分の部屋に行く。ベットに倒れこんだ
友菜さんかわいいな 俺には関係ないけどな。もっと話してみたいな 話す事なんてないよ。好きなタイプは、どんな人なんだろう どうせ俺は、その人には、なれない。
どんな事を考えても否定の考えが頭によぎる。速くどこか遠くに行きたい。
そのまま眠りに落ちた。
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さてなぜ酒井敦也は、こんなにも一位を目指すのだろうか。なぜこんなに努力すんのだろう。
理由は、ある。
それは、家族問題である。
酒井敦也は、一人の兄を持つひたり兄弟だ。そして母と父と二人で暮らしている。そこまで聞くと普通の家族に思える。
だが現実はそう甘くない。父は敦也が物心つく前からDVをしていた。母にも兄にも。だから母は、兄や敦也がDVされたとしても何も言わなかった。そんな母も許せなかったしもちろん父も許せなかった。敦也は、世界が醜く見えたが兄がいたので少しは、耐えながら成長した。だが事件は、起きた。それは、中学三年という思春期の敦也にとっては、強烈だった。
敦也は、母と言い争っていた。
「敦也!しっかり勉強しなさい!だからいつまでたってもダメ人間なのよ!」
「わかってるよ!俺だって努力してんだよ!なんでわかってくんないんだよ!」
「あなたがいつまでたっても結果を出さないしいう事も聞かないからでしょ!」
「努力しても結果が全てだっていうのか!ひどすぎるよそんなの!」
言い争いは、激しくなっていった。父は、ギャンブルでよく家にいなかった。その時は、暴力を振るう人がいないので敦也は、全力で本音を言ってしまった。その時、兄が敦也に向かって殴りかかってきた。
「何お母さんに向かって口答えしてんだよ!ふざけんなよ!はやくごめんなさいっていえよ!」
その時は、仰向けの敦也の上に兄が乗っかって顔面を何発も何発も殴りつけてくる。敦也は、なんで関係ない兄がこんな事をするんだ。暴力の怖さやどれだけいけない事かも知っているはずなのにそれをやっている兄を見て意味がわからなくなった。
敦也は視線で母に助けを求めたが母は、いつも通り助けてくれもしなかった。殴られて泣いてうごかない口で必死に謝罪をした。
そして敦也は、ベットで泣きながら考えた。
クズの父の息子は、クズなんだと。俺もいつかこうなってしまうのか、泣いて、死にたくなって、考えた。
だから敦也は、決めた。強くなろうと。 絶対強くなって父や母や兄がいない場所にいって幸せに暮らすんだと考えた。
その日から敦也の思考は、完全に変わってしまった。今まで仲よかった友達を見るとこいつは、いい親にいい生活してるんだろうなと人を憎むようになった。
敦也の生活は、子供の頃からほとんど変わらなく、風呂、シャワーは、1週間に一度、歯磨きは、半年は、しない、食事に野菜が出る事なんてほぼない、お小遣いなんてない、父は、ほとんどギャンブルをしている、家族全員クチャクチャ鳴らしながらものを食べる。そんな生活をしていた敦也は、他の人全員が贅沢に見えてくるのだ。いい親がいて美味しいものを食べて広い家に暮らして楽しそうに見える。
毎日歯を磨いてシャワーも浴びて、生活を改善して強くなろうと思って勉強も運動も死ぬ気でやった。
今までの敦也は、明るくみんなに笑われながら友達もいっぱいいた。だが、ぜんぶの事が嫌になって友達がいなくなった。
高校に入ってから友達がいない事がどれだけ寂しいか、どれだけ辛いかを知った。だが友達を作るのは、難しかった。
頑張ってキャラを作って学校に行っていると自然と話しかけてくれるようになった光がいた。だからいつも接しているのが本当の俺じゃなくてもあいつとずっと友達と思っている。
話は、それたけど敦也が勉強する理由は、辛い事があったからである。
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「んっん」
寝てしまっていたのか。ラインをすると約束していたな。
『遅れてごめんね。俺は、いつでも暇だから日にちとか決めていいよ』
ご飯でも作って待つか。
敦也は、誰もいないキッチンで料理していると返信が来た。
『わかりました。じゃあ今週の土曜日なんてどうですか?場所は、敦也さんが決めてください。光さんには、お菓子を決めてもらうので』
『その日でいいよ。場所は、近くの遊園地に行こうよ』
『了解です。チーズケーキを作っていくことに決定しました』
『わかった。じゃあまた明日ね』
『はい』
ーーーーーーーー次の日ーーーーーーー
朝起きたらランニングをするのが敦也の日課なのだ。そのあとは、少し勉強して学校に行く。
今日も予習を完璧にしてあるので楽に学校生活ができる。
下校のときまた友菜さんと話す。
「明日楽しみだね。初めて友達と遊ぶから嬉しいです」
「俺も本当に楽しいよ」
これは、本当だ。初めて遊園地に行くからだ。
「チーズケーキを食べんのが楽しいだぜ。やっぱり美味しいんだろうな」
「まあ多分美味しいよな」
「頑張って作りますね!」
ーーーーーーーー次の日ーーーーーーー
遊園地に9時集合である。間に合うようにいった?
俺と友菜さんは、光のやつを待っている。
「あいつこないですね」
「どうしたんでしょうね」
俺のスマホがなった。
『ごめん!どうしても行かなきゃいけない試合ができちゃっていけないわ。女子と二人っきり楽しそうだな笑』
何だこのふざけたラインは。
「ごめん。光来れないらしい」
「そうなんですね。少し残念ですけど楽しみましょう」
「もちろんだよ」
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もう暗くなってきた。
「もう日が暮れてきましたね」
「そうだね。じゃあ次が最後かな」
「そうですね。何乗りますか?」
「最後だし観覧車とかがいいんじゃない?」
「そうですね。じゃあいきますか」
「楽しかったね」
「そうですねー。私友達がいたことがなくて遊んだことなかったから楽しかったです」
「そうだったんだ。勉強もできて可愛いから友達いると思ってたら」
なんか調子乗って変なこと言った気がする。
「か、可愛いなんて、変なこと言わないでくださいよー」
なんかちょっとニヤついてないか?
「敦也君だって勉強も運動もできてすごいですね」
「そんなことないよ。だって何にも一位になれないもん」
「一位じゃなくてもすごいですよ。一位になっても何にもないですから」
俺が求めていたものを侮辱されて悲しくなった。
「まあそうかもね」
静かになる。
「ずっと聴きたかったんですがいいですか?」
「いいよ。何でも聞いて」
「じゃあ遠慮なく聞きますね。なんでいつも辛そうな顔してるんですか?」
まさかそんなこと言われると思わなかった。
「なんでわかるんだ?天才は、なんでもわかるのか?」
「そ、そんなことないですよ。天才なんていませんから」
「才能があるのがずるいよ。俺は、才能がないからどんなに頑張っても友菜さんと光に勝てない。恵まれた家に育って恵まれた才能があるなんてズルすぎる。なんで俺は、才能がないんだよ」
涙が目からながれ落ちてくる。しかも言いたかった言葉でもない言葉が出てくる。
「あ、敦也さんには、立派な才能があると思います!私は、確かに勉強ができるかもしれないけど努力をしようとは、思いません。そこまでの努力ができるのは、一種の才能だと思います」
「そんな才能があっても勝てないなら意味がないじゃないか!」
「どうしても勝てないなら一人で戦おうとせず一緒にがんばりましょうよ。私は、いつでも相談に乗りますから」
「なんで敵と一緒に戦わなきゃいけないんだよ」
「敵と書いて友達と読む存在になりましょうよ!一緒に遊んで一緒に楽しんで一緒に苦労しましょう。そしたらその涙が晴れるかもしれません」
「そんなんで俺の心が晴れるかよ」
「晴れますよきっと。顔が寂しそうですもの。一緒にいれば寂しくないですよ」
「俺は、寂しくなんてない。一人でも十分に生きていける」
「そうですか。でも休憩も入れて適度に勉強をしましょうよ。ほらこれでも食べて」
友菜さんは、手作りのチーズケーキを差し出してくる。
一切れ手にとって口に運ぶ。やさしい味がする。美味しくて優しくて懐かしい味がする。
目から落ちていた涙がより多くなる。
夕日が沈みかけて綺麗なオレンジ色の空が見える。涙で霞んでいるがそれのせいでいつもより輝いて綺麗すぎる。
「ね?美味しくて元気でるでしょ。敦也さんが仲間なんて欲しくないって思っていてもこれだけは、知っておいてください。敦也さんの事を応援して心配してる人がいるってことを」
「ごめん。ありがとう。たまにだけど頼ることにするよ」
「そうしてください。私は、いつでも待っています」
友菜さんの笑顔がまぶしすぎる。かわいすぎる。今ならなんでもできる気がする。
「友菜さんも困ったことがあったらなんでも言えよ。今まで努力でほとんどのことができるようになってるからな」
泣き顔のまま全力で笑顔をしたので顔がすごくぐちゃぐちゃだ。
「はい!」
笑いながら答えてくれる。
なんで俺が一位を目指していたのかがわかったかもしれない。
復讐なんかじゃなくてただ誰かに認めてほしかったのかもしれない。寂しくて悲しくて負の感情がこころを包んでいたんだろうな。
観覧車から出て歩く足取りが軽い気がした。
「悪いな今日は、格好悪い姿見せちゃって明後日からは、格好つけるとするよ」
「大丈夫ですよ。敦也さんのかっこいい姿ちゃんと見ておきますね。楽しみです」
「ああ、ちゃんと見ておけよ。じゃあまたな」
「またななのです」
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家にいるときの気持ちも少し軽く感じた。
「早く会いたいな」
これが恋ってやつの始まりなのかもしれない。
あの子に勝って光にも勝って告白しよう。それまでより一層勉強しなきゃな。
なんせ俺は、それしか能のないバカだからな!
最後まで読んでくれてありがとうございます。
文章を考えるのが苦手なので変な感じになっていたところがあったかもしれないです。そんなところやアドバイスを教えてくれると助かります。