陰部
熱にうなされながらアキは考えた。
この頃体に悪いことばかりしている。
酒も飲みすぎ
夜も寝ないで毎日遊び歩いていた。
煙草もヘビーに吸っている。
熱にうなされ
歪んで見える部屋の布団の中で
自分の不摂生を今頃反省するアキ。
その後もアキは
うめき声をあげ苦しんでいた。
そして朝。
目が覚めたアキは
いきなりの激しい頭痛に襲われる。
首を振って紛らわそうとするアキ。
起き上がったアキは
ふらふらとトイレのほうに歩いて行く。
散乱した雑誌に足を取られるアキ。
ようやくトイレにたどり着いたアキは
そこで悪夢を見た。
みるみるひきつる顔。
震える手。
「あ、あああ、、、!!」
声にもならない叫びを発し
その場に座り込むアキ。
「まただ、、、まただ、、、」
何事かうわごとのように繰り返す
アキの眼の焦点は定まらず
うるんだ瞳は天井を向いている。
トイレの中で
パンツをずらしたまま
座り込んで叫ぶ姿は
コメディーそのものだったが
アキにとっては一大事のようだった。
パンツをずらしたまま
トイレから這うようにして出てきたアキは
何とか洗面台の所まで辿りついた。
「ね、寝ぼけてたかな、、、
顔でも洗おう!」
アキはそう言うと
何回も何回も
自分の顔を洗った。
激しく水を出して洗ったので
洗面台はびしょぬれ。
狂ったように顔を洗ったアキは
ようやく気がすんだのか
タオルで顔をふく。
そして見る。
何を?
「あ、、、あああ」
再びアキはわけのわからない叫び
をあげながら尻もちをついて
後ずさりする。
パンツは依然下ろしたままだ。
「だれだ?お前誰だ?、、、ああああ」
アキは洗面台の鏡に向って
繰り返し同じ言葉を叫ぶ。
恐怖に顔が歪んだアキは
糸の切れた人形のように倒れて
動かなくなった。
依然として
パンツは下ろしたままである。




