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...

とにかくやって来た遊園地。




平日で人影もまばら。




だがこの和人が連れて来た遊園地。




最近のいわゆる<テーマパーク>

ではなく




昔ながらの佇まい。




園内のあちこちから

昭和の香りが漂う


この遊園地を3人は歩く。



「ここはね、僕のお気に入りの場所なんだ」



和人が口を開く。



「めまぐるしい世の中でさ



この園内の中だけは時間がゆっくり流れて

いるような気がするんだ。




僕が子供の頃来た時の雰囲気が

未だに残っている。



この中にいると

何故か心が落ち着くんだよな」




その言葉を聞いてアキが

にやりと笑う。




「かっこいいこといっちゃって!



なるほど、ここが

お前の<女落としスポット>なわけかあ?



一体何人の女をここに連れてきたんだ?」





その言葉を聞いて

和人は首を振る。





「いいや



女の子と来たのは

君が初めてだ」




和人はアキの眼をじっと見つめる。




すると後ろで和人の言葉を聞いていた

ユウが顔をまたもや赤く染めている。




「うれしい、、、



ここに来たのは私だけなんて、、、きゃっ!」




恥ずかしがっているユウを

冷やかに見つめるアキ。






嘘に決まってんだろ!

ダマされやがって、、、






「なあ、あれに乗らないか?」




アキに声をかけた和人が

観覧車を指さした。



観覧車は

誰ものっていないのに



静かに回っている。




アキは和人を睨む。




「おい、、、襲うつもりか?



言っとくけど

さっきの胸さわっていいって言うのは

冗談だからな!!」




和人は慌てて首を振る。




「じょ、じょじょ冗談じゃないよ!




襲うわけないじゃないか、、、



ただ僕は観覧車から見える

風景が大好きで、、」






「うそつけ、、、」



アキのつぶやきを

半ば無視した和人は



アキの手を引っ張って

観覧車のほうに歩いて行く。




「きゃ!和人さんと

手つないでる!



うれしー」




はしゃぐユウ。




「お前も



うぜえよ、、、」








確かに観覧車から見る風景は

なかなかのものだった。




夕暮れ時に差し掛かった

空は赤く染まり



美しく街を染めていた。





「亜樹」




和人が口を開く。




「最近さ、、、辛いことばっかりだけど

気を落とすなよ。



またいいことあるさ。




悪いことがあった後には

必ずいいことがある。




そう信じようよ」




和人はアキの瞳を

じっと見つめて言葉を続ける。




「これから亜樹の人生いいことばっかだよ!

僕が保証する。




それからアキの人生をさ、、、」





和人はアキの手を取って

静かに言う。




「僕が見守ってもいいかな?






好きだ」






その言葉を聞いて

卒倒しかけのユウ。




目が少しうるんでいる。





一方アキは




友人の告白を生で聞かされ

うんざりした表情でこうつぶやいた。






「結構クサいんだな、、、こいつ」







観覧車は間もなく

頂上へとたどりつく頃だった。

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