今年の夏
徒然に書き溜めた詩など
夏がテーマな物がどうしても多い
時間が経って 黄色く濁った油絵のような
分厚い空と 黄ばんだ入道雲が
あの夏を思い出したように
ある朝突然 現れた
雲はびくとも動かないのに
あの向日葵は折れそうなほど揺れている
ぬるんだ風は私のところまで届き
私とすれ違って またもっと遠くまで吹いた
ああ今年の夏は
まるであの夏の日のようだ
あの夏の日とあの人が
私の元へ帰って来たようだ
もう想い出の中でさえ
貴女の顔がわからないのに
貴女の美しかった声だけが
あの夏の景色の中をめぐっている
私の心を めぐっている