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Plant planet ~最強の武器は植物でした~  作者: 花速 雪音
序章 学園とカンザクラ
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第三話 開会式と暇つぶし

「なぜ勝てない……剣術スキルなら俺だって持ってるし、剣の腕では勝てるとは思っていたのに!」

「去年よりは良くなっていたぞ。尤も固有スキルを使っていれば、俺は負けていたかもしれない」

「くそっ!」


 そう言ってラルフドは訓練場を出た。


 しかしどうしたのか、あいつには昔になかった焦りが見えたようなきがした。何故だろうか、就職時期において実力は大事であるが――


「お疲れ、ロイ! すごかったねー。私じゃあもう勝てないかな?」

「嘘を言うなネネ。去年の期末はほぼ同じ実力だっただろ」


 ネネが話しかけてきたことで俺は考えるのををやめた。


「それにしてもあいつあんなに強かったか? 結構危なかったぞ」

「たしかにね。成長速度が速い。何か心境の変化でもあったかのかな。ライバルとかできた?」

「さあな。まあ、俺も負けないためにも頑張らないとな」

「あ、ロイがやるき出した! 珍しい! これを踏まえて今日は祝勝会だね!」

「バカ、お前俺のここ最近の頑張りを見てなかったのか。全く……というか勝手に決めるなよ」

「よーし、じゃあ8時に食堂ね! 今日は奢ってあげるよ!」


 俺の周りには話きかないやつしかいないのか。まあ奢ってもらえるわけだし、いやなことでもないからいいか。


 この後、俺は元級友や後輩などから囲まれてしばらくは訓練場を出れなかった。




 あ、祝勝会もちゃんと参加したよ。ネネが馬鹿やったりでとても楽しかった。




 ☆★☆



 時の流れは早いもので、件の戦闘からさらにひと月が経過していた。


 夏の長期休暇まであと少しとなったところで毎年恒例の行事がある。

 既に卒業して冒険者として生きている先輩と俺と同学年の希望者が行う親善試合。


 実際、この学園を卒業してから冒険者になる人は少なくない。意外と席次が高い実力者ほど冒険者になる場合も多いらしい。

 尤も、席次が上であれば騎士や宮廷魔道士などの推薦も多く届くのだがそれを蹴るほどである。


 それにしても、折角の実践である。この間の模擬戦では植物魔法が使えなかったので、胸を借りるつもりで俺もエントリーした。


 そう言えばこれまでの変化として植物魔法がレベルアップした。新しく使える魔法はこんな感じである



 ―――――――――

 ロイナス=アルメリア・男 (15)



 スキル

「並列思考 Lv1」「剣術 Lv4」「索敵 Lv3」


 固有スキル「植物魔法プラントマジック Lv3」

 Lv1 「光合成」「植物操作」

 Lv2 「成長促進」「種子複製」

 Lv3 「植物付与」


 ―――――――――



植物付与エンチャント」は何かベースとなる武器に植物を付与するという魔法だ。これだけ聞くと弱そうだが、実はこの魔法によって付与された武器はその植物の特性と類似する。

 例を上げると、何か毒のある植物を付与するとその武器は毒性を帯びる。


 そして最近気づいたことだが、どうやら固有スキルのレベルが上がるにつれてそれまでのレベルの能力も上がるらしい。レベル1の「植物操作オペレート」では植物は風になびかれてる位にしか動かなかったが、今では伸縮すら自在に操れる。


 いやーレベルアップしてさらにこの子が使えるようになったよ。今までやる気でないとか言ってゴメンな。

 ただ、今回はレベルアップするのが遅かった。やはり日光浴ではレべルの上がりが遅いので、実践で他の魔法を使うのが一番だろう。


 在校生もこの日は授業が休みで、まるでお祭り騒ぎである。

 対戦相手は教師が実力に応じて決めるらしく、相手は開会式と同時に発表されるそうだ。


 そして数分後、待ちに待った親善試合の開会式が始まった。

 学園長の話や組み合わせ発表等を経て人の波が形成される。どうやら暇な人は広場でやってる屋台とかで食べ物を買ったりするらしい。

 俺の試合は最後で、対戦相手はA級の冒険者だった。席次順に割り振られてる感があった。ネネもA級が相手だったし。

 そうなると試合まではまだ少し時間があるし俺も屋台に行きますかね。



 ★☆★


「いらっしゃーい!」

「ホーンラビットのから揚げ串売ってるよ―! 安いよ!」


 広場に着くとあちらこちらから客を勧誘する声が聞こえる。

 どれも学生にうけるように一工夫がされててうまそうだ。でも、試合控えてるし軽めにしないとな。

 そう考えていると一つの店が目にとまった。


「お兄さんいらっしゃい! 何か買ってくかい?」


 と、感じのいいおじさんが声をかけてきた。


「ここらでは珍しい、スノーキャンディで作ったかき氷がお勧めだよ」

「スノーキャンディ?」

「そうさ! こう見えて俺はB級冒険者でね。試合とかはしないんだけど、この間、北のほうに依頼があっていったときに珍しくて採って来たんだ。このかき氷が絶品でね。食べてみたらわかるよ」


 ほう。それは確かに気になるな。


「じゃあ、ひとつ下さい」

「5コル銅貨だよ!」

「これで」

「まいどあり!」


 コル銅貨とは主にここらコルセア王国周辺で使われていて、10コル銅貨で1コル銀貨。10コル銀貨で1コル大銀貨。10コル大銀貨で1コル金貨、とここまでは10倍ずつ増えて行く。そこから100コル金貨で1コル大金貨、1コル大金貨が100枚集まると1コル白金貨となる。もっとも、白金貨なんてあまりお目にかかる機会なんてないが。


 さて、せっかく買ったからどこかで腰をおろして食べようと思って近くの日陰に座る。

 まずは一口――


 これは! ひやっとしたかき氷がソフトな口触りで溶けて、ほのかな甘みを感じる。そして時たま入ってるラムネのような粒が酸味を醸し出していてとても美味しい。なにもかけ無くても味が完成されているようだ。


 こんなにおいしいものが食べれるなんて将来は冒険者になるのもいいかもしれない。ほら、世界中の食材を求めることとか…あ、駄目だ。料理ができない。


 そんなくだらないことを考えていたら、いつの間にか食べ終わっていた。試合前に良いリフレッシュができたと満足感を感じる。

 少し時がたったので腰を上げ、次は何をしようかと考える。

 そういえば、屋台だけじゃなくて大道芸とかの見世物もやってたな。次はそこら辺を見に行こう。


 そうして、試合までの時間をつぶしていった。





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