第十四話 前夜祭と新たな一歩
この小説世界ではスキルをもらえる16歳が成人です。お酒もこの年で飲めるということでお願いします。
「ドルンさんお話があります」
「なにかね?」
「俺、エルフの里を出ようかと思います」
一瞬の沈黙が流れる。
その後明らかに残念そうなドルンさんの声が聞こえた。
「そうか……結構みんなロイナス君の手伝いには助かってたと思うんだけどね。儂に君の将来を決めることはできないし、拒否はしない。が、どうしてそう思ったのか聞いていいかな」
「今日世界樹の下でお爺さんから話を聞いたんです。勇者の話を。その中に出てきたダンジョンというものがどうも気になって。なので王国に戻り冒険者になろうと思ってます」
「それは寂しくなるね。いつ出るかは決まっているのか?」
「大体1ヶ月後ですかね」
「では、それまではゆっくりしていきなね」
「ありがとうございます」
そうとなるとどこの街を目指したらいいのだろうか。
「ところでこの森から一番近い街ってどこですか?」
「そうだね、村ならいろいろあるけど冒険者ギルドがあるような大きな街というと歩いて5日くらいのところにあるイニーザという街かな。王国管轄とは言っても広いからね。王都とは結構離れてるよ」
「冒険者登録ができれば大丈夫です」
よし、じゃあまずはそこを目指しますか。
1ヶ月ちょっと経ち、ちょうどここに来て1年だ。
この1ヶ月は依頼の数を減らし、この里を満喫したりほのぼのとした日々を送っていた。
今日は俺の送り出しの宴をやってもらっている。
数時間前に始まったこの宴はまだ大盛況である。
「ロイナスくん! 飲め飲め!」
ルタンさんが酒を勧めてくるので少しだけいただくことにする。
もうすっかり腰が治ったようで、今年の収穫も満足のいくものだったと野菜を持ってきてくれたこともあったな。
今は新たな種植え時の為にみんなの畑仕事も手伝っているらしい。
「ロイナス!」
「ロイナスさん……」
リックとクーデルカが呼ぶ声が聞こえた。
クーデルカは実技がメキメキと上昇して今ではクラスでもトップレベルまで成長したらしい。そして今度卒業試験を受けるそうだ。
リックとは実はあのあと模擬戦をやった。もちろん俺が勝ったけどな。
そんなリックも新たな加護の利用方法を見つけ学校を卒業したらしい。どんな利用方法かは、次回の模擬戦までお預けだと言って教えてくれなかったが、周りから聞いたところによると俺の固有スキルを参考にしたと聞いたので次回が楽しみだ。
宴も終盤になるに行くに連れて酔いつぶれる人も出てきた。
と、ここでバンさんらに呼び止められた。
「お前、冒険者になるんだってな」
「はい、そうです」
「お前はグレートゴブリンを一人で倒せるくらいだ。すぐにB級までは行けるだろう。俺も昔は冒険者をやっていた。まあ、すぐやめたけどな」
そういえば意外と外に出てるエルフって多いのかな。
「バンさん、エルフって結構外に出てるんですか」
「そうだな。長寿な種族だからな。経験として他の種族の生活圏に行くことは少なくない。だが場合によっては迫害されたり奴隷商に襲われたりする場合があるから一生を森の中で過ごすやつもいる」
「王都ではあまり見なかったんですけどそういうことだったんですね」
「まあ、あまり人が多くないところに行くしな」
そんな話もしているうちに夜も更けてきた。
翌朝には里のエルフの半分以上がお見送りに来てくれていた。
いろんな人から餞別を貰って感謝の気持ちで一杯だな。
昨日会えなかったりした人に挨拶をしていると、ドルンさんが前に出てきた。
「ロイナスくん、冒険者は危険な仕事だ。決して無理するんじゃないぞ」
「はい、わかりました。今までありが『それとなんだが』……え?」
「それとなんだが、ラナも連れて行ってくれないか?」
「え? それは構わないんですけど……本当にいいんですか?」
「いや、最初は反対したさ。でもなあいつが行きたいって言って聞かなかったんだ。困ったよ。あいつはエルフの中で天才だからな。足手まといにはならないと思うぞ」
「わかりました」
「ラナに外の世界を見せてやってくれ。娘を頼んだぞ、ロイナスくん。またいつでもここへ戻ってきていいからね」
「今までありがとうございました!」
今まで用意をしてたのかバックパックに荷物を詰めたラナが駆けてきた。
「ロイさん! お待たせしました」
「里のみんなにお別れは言ったか?」
「はい、先程済ませました」
「よしじゃあ、行くか」
「ロイさん、これからもよろしくお願いしますね」
俺たちは新たな一歩を踏み出した。
そして文量が少なくてごめんなさい。
最初に増やすと言っていたのは何だったのでしょうか。
とりあえず第1章が終わりました。展開が速すぎますね。




