本当のこと
ところ変わって、黄昏の集い。私はインペラトルの執務室に訪れていた。彼は突如現れた私に特段驚いた様子もなく、中に招れた。
楕円形のテーブルの上に紅茶を置かれたが、私はそれに手をつける事無く彼を見据える。
「説明してください。王、ハドロン。私の両親について」
「潮時か.......」
彼はその一言を聞くと、椅子に凭れるようにして、天を仰いだ。それから台に肘を着いて応用に口を開いた。
「あぁ。確かに君の両親は死狩りだった」
その一言を聞いて、思わず目を見開く。感情が綯い交ぜになる。どうして言ってくれなかったのか、何か訳があったのか。全く分からない。ただただぐちゃぐちゃになった精神が、私の胸を突く。
「君の両親との約束だったんだ。君に死体狩りであることを話さないという。そしてその遺体も此処で埋葬するようにと」
何も言えなくなった。どうしてそんなことをしたのか。あぁ、でも.......。普通の、家族を作りたかったのかも知れない。命を賭す事なく毎日平和を謳歌するそんな家族に。
私は黙って顔を上げた。それからもう一度、ハドロンの顔を見る。
「遺体はヴォルが引き連れたと聞きました。何処に埋まってますか..............?」
「おいで」
インペラトルはそう一言だけ告げると、執務室を後にした。幾度となく階段を下り、長い廊下を抜けた先。枯れ果てた大地。黄昏の集いの庭。そこに小さな墓石があった。手向けと思われる花が添えられている。
「この荒れ果てた大地で眠っている」
「この花は?」
「ヴォルが添えたものだよ。あの子はお使いによく現世に出るから」
それを聞いて、私はその場にそっと跪く。感情を押し殺して涙を流した。
さよなら、私の両親。次来る時には花束を持ってくるよ。




