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しかしその手は途中で阻まれる事となった。手首から先がバッサリと切り落とされたから。思わず背筋を凍らせて、硝吸鎌の腕を握る。怯えて筋肉が収縮し、真っ当な思考が回らない。
そんな凄惨な状況にも関わらず、女は無くなった手首を薄ぼんやりと眺めていた。
「あーあ。相変わらず凶暴なんだね。硝吸鎌。そうやって幾人傷付けたのかな? いや、違うな。君、どーでもいい奴殺せないもんね? 傷つけたのは、大事な大事な過去の相棒クン。こんな野蛮な君でさえ親友のように扱ってくれた聖人。そんなお優しい人の魂を無理矢理引き抜こうとしたもんね? 可哀想。可哀想な過去の相棒クン。やっぱり君はこちら側」
そう凄惨な笑みを浮かべると、無くなってしまった手首を振り回す。真っ青になって動けない私を嘲笑うように、辺りに血を撒き散らす。飛び散った血液が頬に付着する。しかし、そんな事よりも..............。
硝吸鎌が過去の相棒を傷つけた? 本当に? 私は確かに死後、硝吸鎌に魂を渡す約束をしているが、今の私は今の私として、乱暴に扱われていない。でも..............だったらどうして?
不意に死神の王の一言が頭を過ぎった。『首を跳ねられた』と。もしかしたら私が用済みになったら.......。
「気安く彼奴の名を口にするなよ。外道。余程死にたいようだな」
「なんだぁ。随分図太くなったじゃんか。じゃあ振り出しに戻って。紅葉」
手無しの女が標的を変える。大きく見開かれた狂気の双眸が私を捉える。硝吸鎌が自分の体に抱き込んでいるため、一種の不可侵の状態が続いている。耳を傾けてはいけない。だが女の声は甘美にも、流れ込んでくる。
「君のご両親の所在。気にならない?」
その言葉を聞いた途端。思わず息が止まる。私が死体狩りなった理由。それは何も他の死体狩りから命を救われたからだけじゃない。両親をきちんと弔うため。死体狩りとなれば、情報が集まると考えたからだ。でもまさか、こんなところで。
「重要なカードだけどさ。今ここで使っちゃうか。君のご両親はこの世にいない。死体さえ絶対に見つからない。だってあの忠実な人狼が連れ去ったからね。黄昏の集いに」
読者様が絶対に満足しない。そんなテンポだと思います。
もし、アンデッドの続編を書くならば、完結してから載せます。
追伸
硝吸鎌が命を奪った理由?
ある意味それこそが彼の望みだった。
だから行動した。例え、相棒殺しの汚名を着せられても。
ただそれだけの事ですよ。
アンデッド・イヴ という『書き起こしていない』小説で、硝吸鎌の過去と相棒の人生が見えました。
.............書き起すのか.......私は。




