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「え.....................?」
「でも群青は人間で..............。ヴォルは人狼で.......。それにヴォルは黄昏の集いで働いてるから、きっと私よりもずっと年上で.......」
この間ヴォルに会った時、硝吸鎌のことを知っていそうだった。私が知り得ない過去も。でも群青は私と同い年だ。時系列が合わない。どういう..............事.......?
ヴォルは群青の頬を撫でた。そしてまた髪を撫でた。叩き付けた頭蓋を懸念するように。
「私達の魂は双子として存在しています。それも『ウィータエ・アエテルナエ』と呼ばれる世界の。ですが、レーテーを越えた先で私達は離れ離れになりました。普通、合わない魂が肉体に宿ると、肉体が魂に耐えられず、その者は死亡します。所謂、流産という形で.......。そしてまた黄昏の集いを経て、正しい転生先、つまり親に宿ります」
「じゃあ群青は転生を繰り返してるの.......?」
彼は黙って頷いた。悲しげな双眸だった。群青と双子として生まれなかった事を懺悔しているのかも知れない。でも群青にとってヴォルは.......ただの赤の他人なのだろう。
彼は一度口を開き、また躊躇うように口を引き結んだ。しかし意を決したようにまた開く。
「インペラトルはその事をお気になされ、私を黄昏の集いの一員として加えたのです」
それから過去に思いを馳せるように、瞼を閉じた。聞かされたのは重たい過去。そして彼の苦悩。
「今でも覚えています。親に捨てられ、道端のゴミのような存在だった私を拾い上げてくれてくれた事。『お前が双子なら、今程寂しくはなかっただろう』と.......。『本当に済まなかった』と..............」
また群青の顔を見る。気を失ったように眠っている。さっきまで私達を殺そうと伸ばされた腕はだらりと下に向き、薄い唇からは微かな吐息が漏れ出ていふ。
「そしてこうも仰られました。『お前がまたあの娘と双子になりたいなら、黄昏の集いを訪れた歳にお前の命を絶とう』と。『そして今度こそ共に過ごせ』と」
ヴォルの目がゆっくりと見開かれる。その目には覚悟が宿っている。他の全てをかなぐり捨てるような、苛烈な双眸。
「結果として、私はインペラトルの側仕えとして務める事を決めました」
「悩まなかった?」
愚問だと思った。悩んだに決まっている。それは群青に対する手つきから、身の上話をする表情からも容易に想像出来る。
「悩みましたよ。水鏡を使って群青の転生を含めた一生を眺めていました」
それから聖母のような顔で、群青を見た。それから唇をぎゅっと噛み締めて、ゆっくりと吐息を吐いた。それは彼の無念から来る溜息のようにも思われた。
「幸せ..............そうでした。私が居なくとも..............彼女は幸せそうでした」
頬には涙が伝っている。でも口角を無理に上げて、笑顔を浮かべた。泣き笑いの表情。それが全てを物語っていた。ずっと一緒にいた人が幸せなこと。でもそれは自分が居なくとも成り立つこと。その幸福と苦痛が全面に出ていた。
「だからインペラトルのお傍でお迎えする事を決めました。もう.......良いのです。私が居なくとも幸せならそれで。相手の幸せを殺してまで自分を優先するのは、ただのエゴでしょう?」
先日カルぺ・ノクテムを更新させていただいたので、熱が冷めないうちに情報出しときます。
ある意味世界観は繋がってます。
荒いと思われた方。
作者が痛いほど思ってます。本当に、申し訳ございません。




