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「今すぐ彼女の携帯端末から『悪魔的禁猟区×死神的捕猟』というゲームを削除してください」
ヴォルは群青を床に押し付けながら、私に指示を出した。以前会った時の彼からは無闇に暴力を振る輩には見えなかった。それに今は随分と焦っているようだった。
人の携帯を勝手に操作するのは気が引けるが、私は群青の鞄からスマホを取り出す。ホーム画面を開けようとしたが、ロックが掛かっている。
どうしよう。このままだと、アプリが消せない..............! 焦る私に追い打ちをかけるように、今度はヴォルが飛ばされた。群青が目覚めたのだ。
「ヴォル!」
「私のことはお気にならさずに.......早く!」
ヴォルが狼の姿に戻る。肉も服もこそげ落ち、体毛が全身を覆う。
以前買い換えた時にパスワードを教えてくれたはず。君なら別に教えても構わないし、大した情報は無いと。
――あ、ロックかかってる。
――それね。あたしの出席番号。フルのやつ。
思い出した。私は素早く群青の携帯からロックを解除するとヴォルが指示した通り、ゲームを削除した。目覚めた彼女との友情に間違いなく亀裂が入るが、背に腹はかえられない。
「出来たよ!」
振り向いた歳には、全て終わっていた。行動停止した群青をヴォルが抱き締めている。もう彼女に危害を加える必要は無いようで、ただ哀愁の目で彼女を見つめている。
「ご迷惑をお掛けしました.......」
「良いんだ.......。でもどうして此処に.......?」
ヴォルは私の前に座り込むと、だらりと項垂れた。群青を手放す気は無いようで、横抱きのまま、膝の上に乗せている。彼女が目覚める気配はない。また起きて暴れられないと良いが。
彼は私の質問に答えるのを戸惑っているようだった。もし言いにくかったら言わなくても良い。そう口を開いた時だった。
「紅葉様、今少しお時間を頂戴しても宜しいでしょうか?」
黙って頷くと、ヴォルは群青の髪をさらりと撫でて、口を開く。
「群青は私の妹なのです」
吐かれた言葉は衝撃の真実だった。
伏線.......貼り損ねてます.......。
実は群青って女の子とは思えないほど怪力なんです。
平気で骨をおるほど.......。
だから紅葉の首絞めは、少なからず群青の自我が残っているのだと思います。




