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アンデッド─undead─ 二部  作者: 秋暁秋季
第二体 悪魔的禁猟×死神的捕猟
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2

 何時もの朝。甘ったるい柔軟剤の匂いが気怠い体に絡みつく。本当……怠い……。


 死んだ目で部屋を出て、足早にリビングに向かうと、何時もよりも豪勢な朝食が並んでいた。何時から此処は高級ホテルのレストランと化したのだろう……。

 渋い顔をして黙って席に着くと、後ろから耳元で声が聞こえてきた。


「エプロンお掛けしまーす」

「ちょっと、食べる時間ないんじゃないの?」

「大丈夫、何時もの一時間前に起こしてあげたから。感謝してねー」


 するわけないだろ……!! 私の睡眠時間を返せ。道理で目覚まし時計がならないうちに、塊の挨拶が聞こえた訳だ。でも……頑張ってくれたのは嬉しい……かな。

 不意に視界が白く染まる。宣言通り、エプロンを着用させるのだろう。まだ結びもしない髪の上からリボン結びを施すと、背中と紐の間に垂れ下がる髪を両手で抜き出した。


「はい、食べてて-。髪はその間に結んでしまいます」

 そう言って行儀の悪い事にブラシで髪を梳かし始める。私はというと、白い円形のテーブルの両端に置かれたナイフとフォークを持ち、食事を開始する。


 最初に目を付けたのはテーブルの大半を占領する七面鳥。クリスマスでもないのに何処で仕入れ、作ったのだろう……。半ば唖然としつつ、皿を引き寄せると肉を一部切り落とす。


 ナイフを入れたとき、表面の皮が破ける音がして、肉汁が止め処なく溢れる。そっと口元まで運び、咀嚼すると、香ばしい味わいが口一杯に広がった。

 悔しいが、旨い……。


 眉間に皺を寄せて塊を見ると、春風のような爽やかな微笑みを投げ付けられた。“投げ付けた”などと形容したのは言うまでも無い。押し付けがましいから……。出来る事なら怒りマークをこしらえて欲しい。


 それでも料理に罪はなく、頬が落ちそうだ。産みの親が碌でもなくとも、子供は真っ直ぐに育った一例を見せつけられているようだ。


 私が黙って七面鳥の切れ端を頬に詰め、シーザーのドレッシングのかかったサラダを咀嚼していると、不意に佳味が引っ張られるような感じがした。全ての動作を中断させると、塊はぽんぽんと軽く頭を叩く。


「そのまんま食べてて。髪の毛結っちゃうから」


 そう言って耳の上辺り、つまりこめかみ部分にブラシを走らせる。常に思う。行儀が悪いし、髪の毛が落ちて不清潔ではないか?

 行儀が悪いのは人間が勝手に決めた、いわばルールのようなものだが、不清潔なのは不味くないか? そんな思想を余所に、塊はテキパキと髪を束ねてゆく。


「はい。出来たー」

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