1 授業参観は気合を入れて
「おはよーございまーす」
「嫌みたいに元気だな……」
塊は何時も、私の枕許で体育座りして眠っているのだが、今日は太陽の日差しにも似た表情で、上半身をベッドに預けていた。朝っぱらから眩しいな此畜生。
思わず舌打ちしそうになるのを堪え、目付きだけで相手を威圧する。しかし塊にとっては何ら効果がなく、スキップでもしそうな勢いでピースサインを出す。
「きょっ、うっ、わっ、授業参観でーす」
か-、嫌な事を掘り起こされた。誰かがタイムカプセルに食べ物を入れて、其れを眺めているような気分になる。因みにやる奴はいないと思う。
私は泥沼の溜息を着くと、蠅でも追い払うように、右手を振った。
「来ないでね?」
「行くに決まってますよ。紅葉さん」
「……」
何だか口論するのも無駄に思えてきた。朝は戦場である。一分一秒を争う事なんてざらである。私は渋い顔をして、塊を見た。
言うことはただ一つ。
「ご飯にしよう」
「出来てますよ-。何時も以上に気合いを入れて作りましたともっ」
そう言って私の部屋を後にした。
パジャマ姿のまま朝食を取ったところで、時間が押している事に気が付き、慌てて着替える、なんて事になりかねないので、着替えに移る。
肌触りの良い、ふわふわした質感のパジャマの釦を指で弾いていく。徐々に胸元が開け、脆弱な腹が隙間から覗いてくる。全て外し終わったところで袖を引っ張り、床に投げ捨てる。ズボンも同様。人差し指を引っ掛けて、下の方に引きずり込り下ろす。
私しか居ない部屋で、沈黙を破って衣擦れの音が響く。白くて貧相な体を包むワイシャツも、対照的な黒いスカートも、股を締め上げるハイソックスも、やや人よりも時間を掛けて纏わり付く。




