1 愛情表現
御丁寧に、『髪を乾かす』と言って聞かない塊の言うとおりにさせ、髪を乾かして貰ったその後。布団に包まる事となった。端から見れば白い食パンに挟まれ、サンドイッチの状態に見えるかも知れない。勿論、食われるつもりなど毛頭ないが。
黙って目を閉じ、夢の中に墜ちていく。
「久し振りだな。元気にしてたか?」
「昨日振りなんですけどね……」
要智さんは何時も通りの朗らかな笑みを称えていた。朗らかで、明るい……。彼はひらり、ひらりと手を振りながら、ふぁっと欠伸をした。中々に吞気なものである。
「昨日でも、会ってないと忘れるんだよ」
まぁ、そうだけど。日常が濃い分、夢での記憶なんて曖昧に陥ってしまうものだけど。『昨日ぶり』なんて言葉をほざいた私でさえ、彼の事を懐かしく思ってさえいた。
私は彼の前に正座して、髪を払った。一心に彼を見つめる。
「んで、何聞きたい? 悪魔の事も話したし……」
顎に手を当てて、世話しなく目線を走らせる。私が考えている事を推測しようとしているようだ。
……感が良い……とは思う。でも別に悩みなどはない。只単純に話したいだけだ。その、彼の事を……。
私は話難さの余りに視線を彼から外す。彼はそんな事にも構わず、にやりと口角を上げる。
「その……会ってないので……機嫌、絶対悪いままだと思うんです。其所でどうすれば機嫌が良くなるかを教えて戴きたいのですかが」
「何だ、惚気か」
その割に女子高生の恋バナを聞くようにノリノリなのですが。……いや、違うな。校内でイチャついている初々しいバカップルを、クラスメイトが全力でからかうような感じだな。
しかし強ち間違っていない上、本当に惚気て見える為。口を引き結ぶ。
「すみません……」
「あぁいや、少しからかっただけなんだ。本気で謝らんでくれ」
慌てて謝罪の意を示すが、発案者は専ら私なので、要智さんは何も悪くない。
だがからかいつつもきちんと何かを考えていたようで、ドヤ顔で考えを示してくれる。
「何時通りで良いんだよ。何なら御前からぴとっとしてやれば良い」
脚を崩し、持論に酔っている……。が、そんな事で彼奴は許してくれるだろうか? いいや……街一つ分崩壊させた後に漸く聞く耳を持ってくれそうだ。どうしよう……止めてくれるかな……?
相当焦った顔をしていたのだろう。要智さんはきょとんとした顔をしている。
「御前は心配性だなぁ……」
「こんな小娘ごときの言い分なんて聞いてくれないでしょう?」
すると、すいっと体を前屈みに倒して来た。何時になく真摯な目をして、口を引き結んでいる。




