4
よしでは作るとしよう。
「今日はハンバーグになりそう」
「本当ー?」
「あれ、お嫌い?」
「な訳ないでしょー」
嫌いなはずが無い。だって……いや考えるのは辞めておこう。もうくよくよ悩んだ所で仕方がないではないか。
唇を噛み締めて、表情を悟られないように隠しながら、銀のボウルを塊に押し付けた。
「それ、洗っといて。冷蔵庫から食材……出すから」
塊を一瞥すると、ボウルを流水で洗っている。
私は冷蔵庫から挽肉を出し、ガスコンロの横に置く。その前に玉葱の存在を忘れていた。というか一番最初に作業を開始するのが玉葱である事を忘れていた。挽肉は後でも良いだろう。
私が玉葱片手にまな板を用意すると、塊が様子に気づく。
「あっ、其れ俺の担当」
「冷やしたから問題ない」
何でも玉葱に含まれる目の沁みる成分は、冷やすと昇華し難くなるとか、何とか……。まぁそう言った知識は専門家に丸投げしよう。私達に必要なのは、取り敢えず結果だ。
「いいの」
「そう」
まぁ、やりたいなら任せるとしよう。意地を張って抵抗する事もない。
私は黙って塊に玉葱を丸々一つ預けると、パン粉を用意。大匙二杯の水を加え、浸して置いた。やはりこれだけではまだ塊はタマネギを刻み終わってない。半分程残っている。
「半分貸して」
「えー」
唇を尖らせて、顔を顰める。そんな小賢しい真似を無視し、玉葱を取り上げる。少しばかり時間を無駄にしてしまった。その時間を取り戻すように、私はカタカタと包丁を動かし、微塵切りにする。
「塊」
「はいはーい」
皆まで言うなと言わんばかりに、塊はフライパンを熱していた。御丁寧に油まで用意している。それをさらりと垂らし、手首を捻って広げると、まな板を指差す。
「其れ、入れてくれる?」
「はい」
薄いプラスチック製のまな板を半円形状に曲げて、油の跳ねる鉄上に流し入れた。途端に吠えるような音が響き、空気を揺する。塊はフライ返しを使って、丁寧にタマネギを炒め始めた。




