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そう自分で呆れかけながら、指先で文字に触れると、黒い画面に白いインクの滲んだ時で、“Welcome”と書かれていた。
暫くするとその文字も垂れ流されたかのようにぼやけ、新たな文字が浮かび上がる。
──ゲームを開始致しますか?──
此処まで来て、はっと我に帰る。食い入るように眺めていた顔を何とか引き剝がし、頬を抓る。
もしかしたら詐欺かも知れない。ワンクリック詐欺なんて今に始まった事では無い、今のうちにおさらばしよう。
そう思って、戻るボタンを押し、適当にスマホを机の上にほっぽった。別にやる必要はない。内容なんて、ネットの海を漁れば幾らでも情報が出て来る。
顔を布団に埋め、ごろごろと寝返りを打つ。塊はまだ帰ってこない。
「ただいま~」
そう思った途端に塊の声が聞こえて来た。しんしんと足音が此方に近付いて来る。そして扉の開く音。
「ただいま紅葉ちゃんっ」
怠さに抵抗し、無理に顔を上げると、塊の晴々しい笑みが目に入る。更に付け加えるならば、痛々しい程に……。
塊は柔らかい髪をふわふわ揺らしながら此方に近付いて来る。それから毛先を指で持ち、口角を上げた。チェシャ猫のように。
「なぁにやってんのー?」
「友達のやってたゲームが気になったから、検索」
「それって今話題の“悪魔的禁猟×死神的狩猟”って奴?」
びっくりした。まさか今私が検索していたものが、塊の口から出るなんて。人気のゲームで検索して、目当てのものがヒットするとは少しばかり驚いた。
「人気なの?」
「うん。接客しているとき、スマホのゲームしている人達は、大抵やってたよー」
へぇ……CMでも大して御目に掛からなかったから、少し驚いた。まぁ、知名度が低いからこそ宣伝し、多くの顧客を得ることが本来の目的なのだろうが。多くの者に知られているならば、抑も宣伝効果は余り期待出来ない。
塊はやったことがあるのだろうか?
「ねぇ、塊はやった事あるの?」
「んー? 無いよ。無料らしけど。まぁ其れも人気の一つなんじゃないのかな」
なる程。課金をして、より強い武器を手に入れたり、ガチャを回すなどは時折耳にするが、そんなものなのだろうか。




