1 ネトゲ
何とか学校の授業を終え、真っ先に帰宅する。
死体狩りの仕事をしている事以外は、ただの女子高生である。ずば抜けて成績が良いだとか、運動神経が抜群だとか、そんな事は一切ない。
私は欠伸をしながらのろのろと階段を下っていく。踊り場の窓からは橙に成りきれない、中途半端な白い光が差し込んでいる。其れをぼさっと眺め、また一段、もう一段と沈む。
今日は死体狩りの仕事はないのだろうか……。無いのならば其れは其れで万々歳だし、深く考える必要もないのだろうが、その分代わりに誰かが働いている事を思うと、何だか憂鬱な気持ちになった。
気が付くと、一階。昇降口の簀の子が出口を指し示し、真っ直ぐに伸びている。本日も無事終了……そう思ったときだった。不意に頭をかち割るような激しい頭痛に襲われた。其れはほんの一瞬の事であったが、その場にへたり込んでしまうほど、強烈な一撃だった。
私はよろよろと立ち上がり、深呼吸をする。きっと……疲れているのだろう……。さっさと自分の布団に包まりたい。
昇降口で感じた頭痛が嘘のように、その後は何事もなく家路に着いた。
私が暮らしているのは、小さ過ぎることも、大き過ぎることもない普通のマンションである。その自宅前のドアノブをそっと下げ、隙間から覗き込むようにして、様子を窺う。どうやら塊は返ってきていないようだ。
「ただいま」
誰に対してかも分からない“ただいま”が寒い廊下によく響く。まぁしかし、これで塊が不在である事は分かった。居るならば颯爽と玄関まで来て、私の手を握るだろうから。
踵をすり合わせながら靴を脱ぎ、早速自分の部屋へ。シングルサイズのベッドに焦点が合わさると、迷う事なく飛び乗った。それから持ち前のスマホを引っ張り出し、カチャカチャと音を立てながら操作。タイトルを聞くべきだったな……。
──流行のネットゲーム──
どうやら群青が行っていたゲームが、多少なりとも気になっていたらしい。自分でも驚きである。
静な部屋の中で、指先がキーを押す音だけが響く。当たり前だが検索結果は腐るほど出てきた。あの時群青に聞いておけば良かったと少しばかり後悔している。
しかし、一つだけ気になるものが。
「悪魔的禁猟×死神的狩猟?」
今どきのゲームなら、やれ悪魔、やれ天使だとわんさか出てきてもおかしくないのだが、きっとインペラトルの言葉が突っかかってか、嫌に気になってしまった。我ながら影響されすぎだ。




