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アンデッド─undead─ 二部  作者: 秋暁秋季
第一体 黄昏の集い
51/89

3

 にこにこと笑っていた雫が急に後ろを振り返る。目線の先には黒いロングヘアの女子がいた。


 制服を着崩し、ハイソックスも下にずり下がっている。しかし、だらしないという感じは抱かない。武士がどんなに衣類を着流しても、不思議と格好良く着こなしているような感じだ。


 彼女は欠伸を噛み殺しながら、寝癖まみれの髪を掻く。

「蒼ちゃん、おはよー」

「はよー」

 “蒼”と言うのはこの子、空知群青(ソラチグンジョウ)の徒名である。皆曰く、群青だから“蒼”なのだそうだ。

 群青は瞳に溜まった涙を拭うと、目を擦った。寝不足のせいか、目が赤く見える。


「寝不足?」

「御覧の通り……」

 群青はぐでっと背を丸め、猫背になった状態で会話する。何時も背筋を伸ばしたままでいる彼女に取っては、かなり珍しい体制だ。

 彼女は寝癖まみれの髪を指を埋めて掻き回し、欠伸混じりにこう言った。


「いやー、昨日ゲームにのめり込んじゃってさぁ……」

「蒼ちゃんゲームとかするんだ」

「んーするよー? ネトゲとか」

 ネトゲって事はネットゲームの事か。あまり馴染みがない分、どういったものなのか分からない。ゲームには変わりないのだろうが。


 一人黙って考えていると、群青は人懐っこい笑みを浮かべた。

「そそっ。のめり込むと怖いよねー。あぁ言うのは」

 その後、在り来たりな世間話になった。明日の授業参観の事とか、購買に珍しいものが売っているとか、そんな学校という小さな括りの中で話。


 高校生の身分において、不況とか国際問題だとかは余り関係のないものだ。深く食い入らなくても、見て見ぬ振りをしても、誰も文句を言わないし、咎めない。学生という身分は、其れが許される。 

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