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アンデッド─undead─ 二部  作者: 秋暁秋季
第一体 黄昏の集い
50/89

2

 草食男子のように、柔和で穏やかな顔をした、私のクラスメイト。何故か昇降口で会う事が多く、顔を合わせると必ず挨拶してくれる。


「はよ、金雀児君」

 語頭の掠れた簡単な挨拶すると、僅かに頷いて、ささっとこの場を後にした。何時も思うのだが、こうしてみると小動物のようだ。強いて言うなら野生の栗鼠……。


 ぼーっと去っていた方を眺めた後、素早く靴を履き替えると、私もクラスへと向かった。

 長い階段を上り終え、半ば疲れ果てて教室のドアを開ける。きゃらきゃらとした女の黄色い声や、男の野太い声が木霊する。

 昔は私がこの場に入ると、水を打ったように静まり返ったものだが、今はそうでもない。無愛想な私にも慣れてくれたのだろう。

 黙って机に鞄を置くと、ふわふわした髪の子が近付いて来た。動物に例えると、トイプードルのような……。


「紅葉、おはよー!!」

「はよ、雫」

 彼女の名前は叢雨雫(ムラサメシズク)。クラスメイトでは比較的仲が良く、お昼も一緒だ。


 彼女は少し心配そうな顔をして尋ねてきた。

「明日授業参観でしょ? お兄さん来るの?」

 言うと思った。雫は昨年の出来事を粗方存じており、私がどれ程苦労して塊を迎えに行ったのかも知っている。

「来るよ……目立たないようにしてもらわないと」

 私が沼地のような溜息を着くと、右手をひらひらと振り、出来るだけ明るい口調で言い放つ。


「大丈夫、大丈夫。授業中に来てくれたらさ、流石に女子達も身動き取れないよ。授業中に立ち歩いていたら、直ぐバレちゃうし」

 雫の言うことも最もだ。しかし安心してもいられない。塊が訪れたのが生憎“休み時間”だとしたら……? 間違いなく苦労するのは私である。塊はそんな事気にした様子も無く、平然としている事だろう。


 時間には気をつけて来るように言っておこう。折角雫が考えてくれた名案を無駄にする訳にはいかない。

 私は出来るだけ笑顔を作り、頷いた。

「何はともあれ、紅葉が笑ってくれるようになって良かったよ」

「ごめん」

「いいよ、いいよ」

「はよー、あー……眠い」

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