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アンデッド─undead─ 二部  作者: 秋暁秋季
第一体 黄昏の集い
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2

早くもカケイちゃん(*´∀`)(*´∀`)

 所長。此処の事務所の所長である。本名不明である為、基本的に私達は“所長”の愛称で呼んでいる。

 性格は穏やかで、冷静。稀に部下をぞんざいに扱う……。その性格通りと言っては何だが、見掛けは有能な弁護士に見える。銀縁の眼鏡を掛けて、難解な書物を読んでいる所とか、……どんな言い掛かりを付けられても、軽く交わして相手を窮地に叩き込みそうな所とか……。

「あぁ……。呼び出しが掛かったんだ。非常に不愉快かつ不満だが、行くしかない。あの狸……」

 狸……? そう言えば前に何か言っていたな……今もさして変わらないが、物凄く苦々しい顔で。

 いや……所長だけじゃない。あの天上天下唯我独尊、『自分に適う敵は居ない』と声を大にして言いそうな私の相棒も。まっ、それだけ一筋縄ではいかないと言うことか。

「へぇ……。で、一人足りませんよね?」

「あぁ、閏日なら……」

 

          ──バスっ!!──


 突然の物音に皆目を見張る。視線の先は古ぼけたドアへと注がれている。そしてその開け放たれた扉に横たわっているのは──。

「着きましたよ、肥えた豚」

「もっと言ってー!!」

 閏日(ミツヒ)さん……。長い漆塗りの髪を腰の辺りまで伸ばした絶世の美女。スタイルも抜群に良く、繁華街でも歩けば声を掛けない男は居ないような外見を持つ。……しかし言葉から判明する通り、中身は声を掛けた男達を引き下がらせる程の超ドマゾである。

 踏んだり蹴ったり、罵倒なんてほぼ序の口。あさなで体に食い込む程キツく締め上げられて、二階から落とされる事にさえ快感を覚えるような奴である。

 閏日さんは恍惚に頬を緩め、身悶えしている。失せろ、変態。

「これ以上、私の手を煩わせないで頂きたい」

 そして閏日さんの首根っこをひっ掴み、此処まで引き摺って来た男は罅荊(カケイ)という。

 ボルドーの髪に、冷ややかなまでの鋭い瞳。一件優秀な秘書にも見えなくは無いが、自分の思い通りに上司を動かす悪代官のような存在である。そして私とは非常に折り合い悪く、皮肉を言い合う仲である。

 更に言うと、此奴は“人間では無い”のだが……説明は後で纏めてすれば良いか。只でさえ登場人物が多いのだ、混乱を招き兼ねない。

 彼はぐるりと事務所内を見回すと、空気に溶けて姿を消した。

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