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見慣れた光景。赤茶煉瓦が左右に永遠と立ち並び、細い道を形作る。一見すると、日本とは到底思えないような場所だ。
ざっと空間を把握し、此処が夢であると認識する。それから眼前に逸らす事無く私を見続ける青年に声を掛けた。
「要智さん。ご無沙汰してます」
頭を下げようとすると、『そんな堅苦しい事は止めだ』と言うように、右手をゆらゆらと振った。
彼の名前は霊界堂要智。私の夢の中で良く姿を現す青年だ。漆塗りの黒の短髪に、比較整えられた顔立ち。それからアクセントのように添えられたロングチェーンのピアス。
前、初めて会った時には、既に自分が他界している事と、硝級鎌の相棒であることを匂わせていた。
まぁ初戦、想像力豊かな夢物語に違いないわけだが。
彼は何時ものように髪に手を絡め、掻き回そうとしてくる。この人のなりの愛情表現である。因みに髪に神経は通って居ないため、私が拒否反応を示さない数少ない部位である。
大人しく撫でられていると、不意に要智さんは口を開く。
「あぁそうだ。御前、大丈夫か?」
「あっ……はい」




