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そう思って口を輪状に開き、欠伸をした。
「そうだね。今日は出たとしても、私達で対処するよ」
所長は事務机の上で指を組んで、時代劇で出てくるような悪代官のような微笑みを浮かべた。
でもそうと分かればさっさと帰るだけだ。足下におざなりにされた学校鞄を指先で引っ掛けると、そのままクレーン式に引き上げる。それからのっそりと立ち上がると、建て付けの悪いドアまで歩いて行った。
「塊、帰るよ。氷室は?」
「私も帰ります」
ぶっきらぼうに言い放つと、吞気な返事が返ってくる。振り向くまでも無く、踵とタイルの触れ合う音が聞こえて来た。
「それではさようなら」
振り向き様に挨拶すると、所長は手をわかめにして揺らしていた。




