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アンデッド─undead─ 二部  作者: 秋暁秋季
第一体 黄昏の集い
35/89

7

 しかしインペラトルは浮かない顔をしている……何故だろう。

「時代は……繰り返えされる。失敗したら、申し訳ないな」

「いえ、大いに構いませんよ。今までも片方だけでしたし、特に変わりません」


 何かを悔いるように、暗示するように、インペラトルは言った。その顔に笑顔など在る筈もなく、そっと氷室の頬に触れる。対して氷室は春の気のような穏やかな表情で頷いた。

「では、始めよう」


 インペラトルの一言で、地面から紫色の光が放出される。その光は放射線状に飛び散り、直視出来ない程に輝きを増す。一度瞬きをした後には、既に収まっており、何事も無かったかのようになっていた。

「大丈夫か?」

「はい」

「では試しに、コレは見えるか?」


 インペラトルは右手を差し出す。掌の上に何かを乗せているような動作だが、上には何もない。

 氷室は一度眉をしかめると、左目をぎゅっと閉ざした。まるでウインクでもするように。そしてもう一度両目で確認すると、苦い顔で左右に首を振った。


「いえ……与えられたであろう、方には……何も」

「そうか……すまないな」

 どうやら失敗してしまったようだ。まぁ、見えざる目を与える事自体、簡単な事では無さそうだったからなぁ。

 申し訳無さそうに表情を曇らせるインペラトルに、氷室は明るく返す。


「御心配なく。今まで通りです」

「そう言って貰えると助かる」

 仄かに口角を上げ、微笑むと、すっと氷室から目線を外す。そしてばっちり私と目が合う。何の用だろう。

「所で、先程悪魔の話をしたのは、これから対峙する事を考慮しての事だ。そしてその時何も見えていないならば、ハンデが大き過ぎる」

「んで、その悪魔を見えるようにさせる為に呼んだと」


 塊が欠伸を噛み殺しながら、背中を背凭れに預ける。どうやら長い話に退屈し、飽きてしまったようだ。見るからに面倒臭そうで、人の気を苛立たせる。

 本当に腹立つな……此奴……!! そんな気が無いならきちんと座れ。

 しかしインペラトルは穏やかさを壊さず、すっと私の方を向く。


「あぁその通り。しかしね、一番の理由は紅葉にある」

「私……ですか……?」

 驚いて声が震えてしまった。同時にすぅっと見開いた目に空気が辺り、乾燥を呼ぶ。

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