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「お供致します」
塊さんの指差した方向には、立派な半円扉が有りました。どうやら其処から外に出られるようです。
塊さんの後に続き、私もコンクリで出来た地面に足を伸ばします。
「相変わらず変わらんねぇ」
塊さんの言う通り、空は不気味な紫色をしています。空にぽっかりと丸い穴が空いている所を見ると、何だか満月を見ているようです。そして眼下は草花さえまともに生えていないような荒野……。其れが果てなく広がっています。
でも一つ気になった事が…………。
「塊さん……あれってお墓………ですよね?」
「うんー? そうだねぇ」
視線の先には石製の十字が二つ、仲良く横に並んでいます。そしてその前には萎れた花束が置かれています。きっと誰かに手向ける為のものなのでしょう。
「探しに行きましょうか」
「うん」
塊さんはまた微笑むと、バルコニーを後にしました。私も後に続きます。ちょっと急ぎ足で塊さんの隣を歩き、ちらっと横目で様子を確認します。
首の後ろで腕を組んで、少し油断しているような素振りな気がします。でも──油断しても平気なのが塊さんですものね。
「どうしたの? 氷室ちゃん」
「何を考えていらっしゃるのかと」
「うんー、なんて言うか……。俺も下手したらああなっていたのかなーって思って。でも紅葉ちゃんのお陰で此処に居る訳で。なんて言うか……」
無表情ではありますが、頬を引っ張ったり、眉間の間をもみもみしていたりする所を見ると、ちょっと困惑しているようです。
私は頬を緩めると、塊さんが言いたい言葉を要約しました。
「感慨深いのですか?」
その言葉を言った途端、塊さんは少しだけ目を見開いて、此方を見てきました。
「って言うのかなー。もやもやしている……けど、嫌なもやもやじゃないんだよねー」
塊さんはそう言って眉を少し顰めてます。とってももどかしそうです。でも“嫌なもやもや”という気持ちで無いだけ、良い傾向なのだと思います。
私は少しだけ喉を鳴らすと、目を垂れ下げました。
「塊さんは先輩のこと、大好きですものね」
「うん、好きー。俺の為にも幸せになって貰わなきゃ困るんだよ」
良いですよね、そう言う関係。お互いに思い合って、大切にするの。大事だと思います。
不意に塊さんが歩みを止め、遠方をじっと見つめています。何の感情もなく、何も写さない。本当にただ、前を見据えています。私も疑問に思って同じ方向を向くと、二人の人影が見えました。
「先輩でしょうか……?」
「多分ね」




