表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンデッド─undead─ 二部  作者: 秋暁秋季
第一体 黄昏の集い
22/89

3

 当然だ。だってこの空間に硝級鎌が来ること事態、誰も予期出来なかった事実なのだから。そう、一人を除いて。

 インペラトルは企みがちに微笑んだまま、何も答えない。

「後は上手く皆を誘導させ、時間を稼いで紅茶を冷めさせる。ヴォルは冷めた紅茶を出すような、そんな無礼な真似はしないだろうからね。そして聞かれたくないヴォルを退場させた後、紅葉を誘導した」

 最もその必要などなく、上手く皆が立ち回ってくれたようだが。

 しかし此奴のお陰で皆は傷付き、この場を離れていった。全くとんだ狸である。

 六杯目を飲み干すと、真っ赤な舌先が唇を舐った。


「貴方の狙いはなんだ? こんな無駄な茶番を用意してまで、貴方は一体何がしたい?」

「硝級鎌が今、満たされているのか知りたかった。其れと紅葉に知らせる為だよ。過去に彼奴が何をして、何をされて来たのか」

 笑みが消えた。好好爺のような雰囲気が薄れ、冷ややかな指揮官の表情になる。その目には絶対零度の冷気があった。

 だからって……もっと穏やかなやり方があったのではないだろうか。


「硝級鎌が要智にしたことを、紅葉にもやって欲しくないだけだ。満たされていなければ、何れ亀裂が入る。荒れていた彼奴が要智の魂を抜き取ったようにね」

 目は笑っていなかった。鬼のように恐ろしく、厳しい。

「私に協力するという事は、身内になるのと同義なんだよ。後になって化膿するぐらいなら、今の内に消毒液をかけるなり、切除するなり、何でもして、無かった事にする」

 手厳しい言葉と共に最後のティーカップに手を掛ける。タナトスでもやろうとか言っておいて、あっさり全て飲み干している。

 彼の表情は強張っていて、仄暗い闇が灯っていた。


「硝級鎌の全てを受け入れられなければ、互いに破滅へと向かうだけだ。そうやって再起不能になる位なら、こんな事、造作もない」

「で、試練はどうだったの?」

 閏日が蠱惑的な目で問い掛ける。吸い込まれそうな黒が真っ直ぐにインペラトルに向けられている。

 彼は閏日の問いを受けて、漸く穏やかな表情に戻った。合格といったところか。

「大事にしていたようだね。彼処までするのはきっと、心がある程度修復されたて来たからだろう」

 しかしまた直ぐに手厳しい表情に戻って言った。

「ただこんなのはまだ序の口だ。あの子がどれだけ耐えられるか。見届けなければならない」

「狸は考え過ぎなんだよ」 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ