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アンデッド─undead─ 二部  作者: 秋暁秋季
第一体 黄昏の集い
11/89

2

 眼前に広がる道となるべき所に、鈍色の煉瓦がぎっしりと敷き詰められている。左右に広がるのはだだっ広い荒野。本当に何も無い。枯れ果てた草木が肩身を狭くして生えているぐらい……。

 だが……。門を潜って新たな発見をした。進行方向左手に、墓場と思われるコンクリの十時が二つ、仲良く並んでいた。誰のだろう……? 御丁寧に花まで添えてあるのに……。

 まっ、所詮聞いたところで分かる筈もないか。

 長い通りを抜け、内部に入る。外と比較して、内側はそれ程までに酷くはなかった。細部まで丁寧に施された木の彫刻が、年代の古さを讃えている。まるで手入れの行き届いた屋敷のような感じである。床には緋色の絨毯が敷き詰めてあり、踏み締める度に足を優しく包み込む。……結構綺麗かも…………。

 そう見とれていると、女が振り返って笑顔を浮かべた。

「何時も、有り難う御座います。ひ……」

「あぁ言わないで。その名前、本当に好きじゃないから」

 所長が手で制し、片方の手で前髪をかき上げる。感謝されているのにも関わらず、表情は浮かない……。名前の拒否感が感謝に勝っているということか……。

 次に女は閏日さんを見ると、天女の微笑みのままに口を開く。

「貴方は来なくても宜しかったのですよ。いっそ黙って土でも還ってくださいな」

「全く、いけずー」

 閏日さんの頬が緩み、締まりのない表情になる。熱中に置いたアイスクリームのようにでろでろである。

 凄い……。閏日さんの扱いを心得ている。罵倒するときは善意が働き、少しは戸惑うのだが、彼女にはそれが一切なかった。プロだ……。 

 次に私達をそれぞれ見て、軽く会釈をした。

「お話はよく存じ上げております」

「その割に、俺達は君達について知らないのだけどね。今日だって、使い魔だって言う“ファミュレス”から粗方話を聞いた程度」

 塊が僅かに口角を上げて、ニヒルな笑みを浮かべる。もしかしたら馬鹿にされていると感じるかも知れない。無論、彼にそんな気持ちは一切無いのだが。

 女は僅かに顎を上げると、頷くように首を縦に振った。

「なる程。では長から直々にお聞きになると宜しいでしょう。常に暇を持て余しているような方ですから」

「でも──居なくては困る」

 急に上がった声に視線が集中する。氷室が何時になく思案した表情で、目蓋を伏せていた。しかし皆からの目に気付いたのか、慌てて弁解を始めた。

「すっ……すす……すみません!! 独り言です!!」

「構いませんよ。実際その通りですから」

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