表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンデッド─undead─ 二部  作者: 秋暁秋季
第一体 黄昏の集い
10/89

1 死神の王

「で、此処何処?」

 ファミュレスに促されるまま、連れて来られたのは荒野だった。地面には青々とした草は見当たらず、土が露出しているし、僅かに生えた木々も、ほぼ草を落としてみずぼらしい姿を晒している。空を見上げると紫がかったような夜空。絶対に昼とは認めない。

 そしてそんな成れの果てのような地に、中世ヨーロッパのような古城が設立されていた。古城と言っても皆が想像するような艶めかしいものではなく、はっきり言って廃城。主に見捨てられ、長年世話をされて来なかった幽霊屋敷のように不気味である。

 そもそも、空間と古城が合い過ぎている。ホラー好きには堪らないだろうが、私は早く帰りたい……。

 ──黄昏の集い(コウコンノツドイ)、死神達の根城であります。

「確かに城だけどさ、これ本当に誰か居るの?」

 塊が黒々とした門を指差して問う。それは私と氷室が最も問いたい事だろう。……どう考えたって居るのはホラー好きか、心霊写真収集家だろう。

 そんな風に高を括っていると、所長が口を開いた。

「居るよ。少なくとも会いたくない狸爺と、苦労人な側仕えが」

「全く、ノエルさんは……」

 表情が絶望的に暗い。嫌いな上司に会うときだって、こんな顔はしないだろう。対して閏日さんは何時も通りだった。筋金入りのドマゾにとって、恐怖を感じるものなど無に等しいのだろうな……。

 そして一番心配なのは……。

「どうしましょう~……」

 今にも泣きそうな氷室である。生まれたての子鹿のように脚を震わせ、脅えている。確かにホラーとか苦手そうだもんなぁ……。

 そんな氷室は私の袖を掴み、後ろに隠れているのだが……。塊にする事をお勧めする。彼奴怖いもの知らずだから。

 そうやって塊を見ていると、不意に重厚な門が開き始めた。大門は何とも耳障りな音を立てて開くと、道を示す。

「お待たせ致しました。人間様。インペラトルがお待ちで御座います」

 中から現れたのは女……だろうか? 全身を、それこそ顔までゆったりと覆う黒いローブ姿。それしか形容出来ないほど、他に特徴が無い。女と判断したのだって声からである。

「あっ、人間様相手に顔をお見せしないのは失礼に当たりますね」

 そう言うと色白な指でローブを捲った。白玉のような肌に、血のように赤い唇。大きな目は紫を挿していた。

 外見は人間と変わらない。せいぜい瞳の色が異なるぐらいだ。私がじっと観察していると、彼女は深々と頭を下げた。

「御案内致します」

 女の一礼と共に私達は歩み始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ