第21話 ヴェルサイユ宮殿
今日はヴェルサイユ宮殿に行くことにする。てっきりC線は、ユーレイルパスが使えると思っていたのだが、その一部は、市交通局が運営しているらしく、SNCFではないので使えないらしい。ヴェルサイユまでは30分ほどで着くのだが、間違って、一回りして着く電車のホームに行ってしまい、そのことに気づくまでにだいぶ時間を無駄にした。これならば、そのまま乗った方が早かったかもしれない。
その過程で、日本人高校生の集団に遭遇した。指導者は英語で説明をしている。ショートステイできているのだろうか。ちょうどゴールデンウィークに入ったところでもあるし。
ヴェルサイユの広さは想像を絶する。駅から門までも十分距離があるが、その中の広さには比較すべくも無い。しかし、その広さを体験するには、チケットを購入しなければならない。様々な窓口があるが、純粋に入場券のみを売っているのは1ヶ所だけ。そしてそこには長蛇の列が。照りつける日差しの中、体力はグングン消耗するが、行列は遅々として進まない。結局、2時間近く並ばされる。せっかく早く出てきたのに、何か時間を無駄にしてしまった気分だ。
さすがに中は豪華絢爛。建物自体は、当時の雰囲気を十分かもし出しているのだが、観光客の多さがそれを大幅に損なわせている。大げさに言えば、立錐の余地も無い、といったところ。ゆっくり雰囲気に浸るなどと言うのは、夢のまた夢である。
建物の中はそこそこに、庭に出る。追加料金を払わされるのはシャクだが、ここまで来て庭を見ないわけにも行かない。
アホだー。こんなものをつくろうと思うのはアホしかいない。異常なまでの広さ。向こうの方が霞んで見える。ここを毎日散歩していたら、相当に健康的生活が送れていただろう。
つくる阿呆がいれば、歩く阿呆もいるわけで、ただひたすら歩く。4時間以上歩き倒したが、それでも半分程度しか回れなかった。暑さの前に、体力の限界。帰還することにする。途中、どこかのお姉さんに写真を撮ってくれるよう、お願いされた。モデルみたいですね。
帰る方向の選択ミス。横から抜けて駅に戻ろうとするが、それがまた遠い。確かに風景は綺麗で、ピクニックでもしたら楽しそうなのであるが、こっちは倒れそうなので、そんな余裕も無い。何とか駅まで帰り着き、宿へと戻る。途中、明日の列車の予約をする。売り場の人にせかされて、切符をもらい忘れるところだった。早く帰りたかったんだろうなあ。
スーパーで果物を買う。ヨーロッパでは、果物は大抵、計り売りなので、スーパーなどでは自分で秤に載せ、料金シールを貼らなければならない。それに気づかず、レジの人にやってもらう。でも、お客さんが並んでいても、慌てもせず、ゆったりと歩いて秤に向かう様は、さすがと言うべきか。
洗濯をしに出かける。昨日見つけておいたのだが、場所を忘れてしまった。新たに見つけたところは、昨日のところよりも料金が安かったので、結果オーライ。
宿から程近いレストランへ行く。ここも午後8時からだった。
フランス料理は、様々な要素を重ねて成り立っているな、と実感する。ただ、ギャルソンがタバコを吸っていたのは、いただけない。日本人も来ていた。声を聞いて、一瞬後輩かと思ってしまった。