第17話 サグラダ・ファミリア
お腹がいっぱいだったので、ビールを飲むことはできなかった。到着しても起こしに来てはくれないし、パスポートコントロールもありませんでした。
スペイン国境の駅Port-Bouで乗換え。次の電車が出るまでに、朝食を取る。といっても、昨日買っておいたチーズ。ちょっと酸味のあるフレッシュチーズなのだが、濃密な味なので、朝からはキツイ。ふたを開けてしまうともう一度閉められないので、持ち運ぶと汁がこぼれてしまう。断腸の思いで捨てる。ごめんなさい。
ポルボゥからバルセロナ間では、普通電車に乗る。あんまり良く写っていなかったけれど、スペインの車窓です。途中駅で、スペインの女子高生?が乗り込んでくる。当然ながら、私服。日本の中学1年生の英語の教科書のような内容の、フランス語の教科書を読んでいた。
バルセロナに到着。3時間も走る電車だったのに、トイレがついていなかったのが痛かった。
荷物を預けて、地下鉄で移動。さすがに緊張する。バルセロナの治安が悪いというのは常識だから。1日券を購入して地下鉄へ。次の電車が到着するまでの時間が秒刻みで表示されているので、待っていてもイライラ感が無い。スリに警戒するが、露骨に近づいてくるような人はいなかった。
サグラダ・ファミリアは駅の出口のすぐ前にあった。あまりに近くに大きな建物があるので、その全容がつかみづらい。
入場門のすぐ脇では、物乞いの人が待機していて、財布を出すのを待ちわびている。露骨に観光客狙いだなあ。
サグラダ・ファミリアは、自然界の構造物をモデルにして、それを人工物で再現するという、奇妙な思想の元に建てられている様だ。つまり、植物や昆虫、もしくは蜂の巣などの生産物をモチーフにしてデザインをしているらしい。ガウディの哲学なのだろう。涼しげで、綺麗だ。
塔に登る行列に並ぶ。並んでいたどこかの人と、ちょっとお話。お疲れのようです。螺旋階段を上って、頂上の方へ。壁一面に落書きがいっぱい。英語、フランス語、ドイツ語と様々な落書きが、本当に壁を埋め尽くしている。じっと見ながら上っていくが、日本語は見つからない。日本人観光客は常識を知っているなあ、とホッとしていたら、頂上付近で発見してしまった。「人生最高!」いや、あんたは最低ですから!頂上付近からの眺めはすばらしい。モンジュイックの丘と思われる丘もみえた。出口のところに、仮装して像の振りをしている大道芸人がいたが、人間と気づかず、ふらりとそちらに寄ってしまった。彼もとてもびっくりしていた。
午後になると郵便局が閉まってしまうらしいので、とりあえず切手を確保しに行く。すさまじいまでに局員にやる気が無い。意思疎通をしようという努力をする気が無い。内輪で話をして盛り上がっている。それでも何とか切手は確保する。