第15話 ニース、天使の海
ニースに到着。入国審査は、審査官がブツブツとつぶやいただけで終了。預けた荷物がきちんと帰ってくるかが不安。じりじりと荷物が出てくるのを待つ。ようやく出てきてホッとするのもつかの間、何か様子がおかしい。カバンと寝袋がバラバラになっている。それらをつないでいたはずのベルトは見つからない。まあ、重要なものはきちんと来たので諦めよう。(後から思いついたのであるが、おそらくはセキュリティーチェックのときにバラバラにされたのだろう。)
空港内のATMでEURを引き出す。空港から市内までの公共交通は、バスのみ。路線が分からないので、売り場の人に聞いて購入。メルシー。バスに乗ったのは良いものの、どこで降りればよいのかが分からない。降りそこなって、結局、終点まで行ってしまう。
地図は持っているが、現在地が分からないので、目的地も分からない。とにかくランドマークを探そうと、荷物を引きずりながら、さまよい歩く。南仏の日差しがまぶしく、汗がポタポタと落ちる。落ちた汗がメガネのレンズにまとわりついて、うっとうしい。
ようやく、地図にある広場を見つけ、そこからYHを目指す。大通りが工事中で、通路が非常に狭い。それなのに、大勢の人が通るので歩きづらい。途中、正座して物乞いをしている10歳くらいの女の子に遭遇する。ここでの稼ぎはどこへ行くのだろうか。
迷いつつも、路上の地図を頼りにYHを発見、チェックイン。とても陽気なレセプションだ。鍵はカードキーで、設備もとても綺麗。ここは当たりだ。そう思ってトイレをチェックすると、なぜか便座がない。どのトイレにもない。これが普通なのだろうか。
明日のチケットを購入するために、鉄道駅に向かう。ところが窓口はみんな閉まっている。唯一、開いていたインフォメーションで聞くと、明日にならなければ買えないらしい。何じゃそりゃ。
購入は無理なので、とりあえず、地中海を見に行こうと思う。駅から海までは、歩いて30分くらいはある。ニースは、駅周辺と海岸周辺に観光者用の施設が多く、中間や山の方に生活空間がある。途中、信号が面白いと思ったので写真に撮って見ました。
まあ、普通の歩行者用信号ですよね。渡っていいよー。じゃあ、こっちは?
走って渡れー。急がないと、ひかれちゃうぜー。本当かどうかは知りません。なぜ2種類あるんだろう?
綺麗です。思わずため息が出ます。空の蒼と海の青がとけて、まじりあっていくようです。天使の湾。海岸に座って、しばらくボーっとしていました。
だんだんトイレに行きたくなってきたので、晩御飯を食べるレストランを探すことにする。どこを見ても、イタリアレストランばかり。カジノに入ってもご飯は出ないだろうなあ。イタリアに程近いから、ニースは文化的にはイタリアなのかも知れません。これは予想外だ。プロバンスっぽいご飯を期待していたのに。
仕方なく、イタリアレストランに入る。海岸線沿いのお店なので、海がよく見える。ご飯を食べて、ビールを飲みながら、海が紅くなって、暗くなっていく様をじっと見ていました。