第10話 ユースホステルで洗濯
YHに帰って洗濯をする。ランドリーの場所をフロントに聞こうと思うが、彼らが話し込んでいて、そこに割り込むことができず。結局、シャワーを浴びながら洗濯することにする。情けなし。
洗濯物を絞っている途中で、突然シャワー室の扉が激しくノックされる。”Who is it?”とっさに答えられず、あわてて洗濯物を絞り、シャワー室から飛び出す。外には、昨日フロントに現れた男の人が、タオル一枚巻いただけの姿で立っていた。急いで譲り、部屋へと帰る。本当にシャワーの数が少なすぎる。ここが「地球の歩き方」に紹介されていない理由をはっきりと理解した瞬間だった。
あわてて無理やり絞ったので、手のひらの皮をすりむいてしまった。右手の中指の付け根が、丸く擦りむけている。持ってきた絆創膏で応急処置をする。こんなに早く使うことになるとは。それだけの犠牲を払っても洗濯物は湿ったままなので、誰も部屋にいないことを良いことに、様々な所に干しまくる。そのせいか、部屋の湿度がかなり高まった。(実際、寝苦しかった。自業自得。)
外に晩御飯を食べに行く。疲れが足に来ているので、栄養補給をしなければならない。ところで、ロンドンの歩行者のほとんどは信号無視をする。きちんと車が間に合わないのを見切ってからだが、赤信号でも平気で渡る。車も、横断歩道の近くではかなり慎重に走る。いつ歩行者が出てきてもよいように。これを見ると、日本の人は信号を過信しすぎているなあと感じる。どちらが良いとは言い切れないけれども。
喫茶店のような店で、ローストチキンセットを食べる。食べられる味だけれど、ただ単純に焼いたと言う以上ではない。ところで、精算て、なんて言えば良いのだろう。電子辞書で調べる。代金をきっちりと渡したら、”Perfect !”と微笑まれてしまった。照れる。
部屋に帰ると、まだ誰も帰ってきていなかった。洗濯物を移し変え、電気をつけたまま寝る。おやすみ。