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ダルさから始まる物語  作者: TDW
5/9

「¶§τ°γτ」



「うん!わからん!」



目の前で、火がばちばちと音をたてる中、大蛇の焼き肉?な食べ物を

食べながら宣言する。



あれからいくらばかりの時間が過ぎた。

全く言語が理解できず、あちらの方もこっちの言語を理解できていなかった。

銀髪の女の子、今は銀髪と呼ぶ事にするが、年齢はどう見ても大人では無く、

恐らく俺と同年代もしくは、年下辺りだろうか。



大蛇の昼食になる所を豪快に助けて貰った後、色々と何語か分からない言語で

色々言われた後、こちらとの会話が繋がらないと諦めたのか、なにやら持ち前の

カバンから一つ飛び出すように存在感を現わしていた剣を放りなげてきた。



慌ててキャッチする。

ずしりとした重さが手にかかるそれは、刃渡り60cm程の剣だ。

いきなり物騒な物を投げられ、こいつ何考えてるんだろう。

と、思案する


時間は必要無かった。

銀髪は巧みなジェスチャーを使い、こう言っていたのだ。



『その剣を使って蛇捌くのを手伝いなさい』



んな馬鹿な。






結果的言うと、とても頑張った。

蛇は思っていたより、体は柔らかく切りやすかった。




ん?こう?

ちがう!こう!

こ・・・こうか!!

そうそう! (満面の笑み


うぉおお!!腹から何かでてきたぁああ!!

血がぁ!!血がぁ!!臭いぃぃ臭いよぉおお(半泣き


うるさい!!!(憤怒



そんな感じのやりとりを器用にジェスチャーを行いながら蛇を解体していった。

時間が結構経っていたようで、日が沈み始めていた。

大きめの石を円形に並べて木を組み、ナイフを使って木を削る事で着火剤

になるものを作成する。

ここまで全てジェスチャーで伝えられたのは、銀髪の表現力の賜物だと思う。


銀髪はカバンから2組の赤い石を取り出すと

カンカンと石どうしをぶつけ始めた。

これには驚きを隠せない。



そ、それ・・完全に火打ち石ですやん・・・・いつの時代なのかなここ。



きっとこの世界でも難度が高いのだろうか。


火をつけた後、銀髪はこっちにドヤ顔向けていた。








で、今に至るのである。

あの蛇を食べやすい大きさに切り分けた後、じっくりと火であぶり食べている。

1日ぶりの食べ物に、がっつくように食べて食べて食べまくった。

腹が満たされ一息つき、銀髪の方に目を向けると、

まだちびちびと食べている所だ。



とてもいい奴なんだな。と思う。

見ず知らずの人を助け、言葉が通じないというのに根気良くジェスチャーを行い、

意思の疎通を図り、食べ物も与えてくれる。

その優しさに甘えるしかない俺が言うのもなんだが、騙されたりしないのだろうか。



銀髪は食べ終わったのか、立ち上がるとカバンからゴソゴソと何かを取りだし

放り投げてきた。

薄く所々ほつれているが、人一人は覆えそうな布である。

なるほど、これを使って寝ろというわけ・・・・こいつは何をしているんだ?

鞘入りではあるが、剣先を使い地面をえぐるようにして線を作っている。



どうやらまた何かあるようだ。

姿勢を向け、全力で意思疎通の為に意識を集中。





なになに


この線から・・・足が出る・・ん?ああ、足を踏み入れる・・・・首切る



はいはい、襲いません襲いません。

俺はまだ命が惜しいのだ。




そんなジェスチャーのやりとりの後、銀髪はさほど距離の無い4隅に

三角の物体を置いていた。

そしてそれに物体に火打ち石を打ちつけている。

見る限り推測ではあるが、魔物避けかなんだろう。

物体からなにやら怪しげな煙が出ている。ほぼ蚊取線香にしか見えない。

もしかしたら虫避けの方かもしれない。

再びジェスチャーで説明が入った。



眠っていいよ、と。





パチパチと、焚き火が鳴っている。

辺りは静かで、ちょっとばかし煙たい。

3つの月があまりにも自己主張しすぎなのに目を瞑れば、枝の間から覗く

星空も中々に綺麗だ。

昼には蛇の顔とご対面したこのデカイ木も、今ばかりは睡眠を誘うかのように

木の葉を揺らし、心地良い音を立てていた。



眠れる訳が無い。

1m先に知らない女がいるからではない。

震えが止まらない。

寒いわけではない。



これは夢では無い。

そう結論に至り、震えが止まらないのだ。



結果的に助かったとは言え、命の危険にさらされた。

喉の渇きを感じ、空腹を感じ、暑さを感じ、眩しさを感じ、

安堵感を感じ、そして冷静になった。



涙が止まらない。

一体俺が何をしたというのか。

ただただ、家に帰りたい。

安心できる部屋で眠りたい。

冗談を言い合える友達に会いたい。



隣に気を使う余裕などなかった。

俺は一体どうなってしまったのか。

何が一体起こっているのか。

いつ戻れるのか?

いつ帰れるのか。

説明しろ。



「説明・・・しろっ!!説明しろよっ・・・!!!」



口に出さずにはいられなかった。



『了解しました。ロックを外して下さい』





ん?



つい大きな声を出したからか、銀髪を起こしてしまったのだろうか。

だが、隣は静かそのもので起きている様子は無い。


というか、気のせいでなければだが、”ポケットから返事が返ってきた”

そんな気がしたのだ。

疲れているのだろうか。

ふと、見てみると中から光が漏れていた。




ちょっとまて、確かあの時・・・・蛇に食われるその直前。

なんで忘れていたのか、携帯が鳴っていたじゃないか。

ロック画面が目の前に現れ、俺はそれを解こうとしていたじゃないか。


携帯を取り出す。

暗い周りを照らすような白く光り輝いてたそれは、眼前にあの時と全く

同じ、ロック画面が写し出されていた。

一つ一つの点が脈打つかのように点滅している。

おそるおそる一指し指を伸ばすと、暖かい感覚が伝わってきた。

いつもやるようにロックを外す。



『おはようございます。SAIMAS社製人工AI【ファル】です。

 取り扱い説明を読み、初期設定を行って下さい。』



そう喋ったかと思うと、目の前に文字が浮かびあがってきた。



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐   初期設定   ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


【言語変換機能】OFF


言語を認識できるよう変換しちゃいます♪バウバウっ!!


【貨幣変換機能】OFF


お金を変えちゃいます♪ちゃりんちゃりん!!


【武技換装機能】OFF


武装しちゃいます♪シャキーン!!


【地形図作製機能】OFF


周囲5mの地形を記録し、地図を作っちゃいます♪カキカキ!!


【光合成機能】ON


太陽の光を浴びさせて♪パアァァァ!!


【日付変更超回復】ON


バッテリーがみ・な・ぎ・るぅうううう♪



以下、通信が取れない為表示できません♪


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 




・・・・・・なんなんだこのテンションは。

ここまで文面に腹立つの初めてな気がする。

なんだバウバウって、なにがみなぎるって?



『OFFとなっている部分は現在起動されていない設定です。

 ON設定にする事で、その機能の効果を起動する事ができます』 



再び機会音声が発せられる。

どうやら、このふざけた文面の「OFF」と書かれた部分をタッチする事で

「ON」に変えられるようだ。

とりあえず全部タッチし、ONに切り替える事ができた。



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐   初期設定   ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


設定の変更を確認しました。


再起動を行います。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 



一度電源が切れ、再び再起動したと思うと、



『改めてになりますが、人工AI【ファル】です。よろしくお願いします。

 しかしここまで結構な時間がかかりましたね。おまぬけさんが私のマスター

 ですか・・・・この先が思いやられますね』




機械音声からの罵声。




あぁ、疲れたし、ねぼけてるんだろうな俺。

よく考えてみろ。携帯がこんなサディスティックに喋るわけないのだ。

俺は右上のロックボタンを押し、その辺に放り投げた。

とりあえず今は何も考えずに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





意識を手放した。


次 偶数話 近々

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