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ダルさから始まる物語  作者: TDW
2/9

地平線が何処までも伸び、見渡す限り、殆どなにもない。

その風景はとても壮大で美しく、おもわず息をのんでしまった。

言葉では現わせない感情が湧きあがる。



ただやはり、冷静になって考えるとおかしい。

俺は何故こんな場所にいるのだろう?

そんな疑問しか浮かばない。

携帯を見ている段階では普通の通学路だったはずなのだ。

それがどうだろう、ポケットにいれて視線を前に向けた瞬間草原が広がっていた。

やっぱりおかしい。

なにこれなんだこれ?



携帯を取り出すと電波表示は圏外となっていた。

やっぱり最近の俺はおかしいのだろうか、こんな事が現実にあるはずない

きっとこう、携帯取り出したあの瞬間に立ちくらみかなんか起こして気絶でも

したんだろう。

そうだこれは夢だ!



というわけで、



俺は草原に寝る事を選んだ。



















どれくらい時間がたったのだろうか。

”肌寒く感じた”ので、目が覚めると

辺りは真っ暗で、月明かりだけが”やけにまぶしい”

まだこの夢は続いているのだろう。

先ほどよりは暗くて見渡せないが、どうみてもあの草原だった。



「はぁ」



ため息もつきたくなる。

夢の中で眠るという行動をとったのに、起きないとは中々やる夢だな

なんてやたら眩しく感じる空を見上げた。

星は見えず、大きな月が3つも光り輝いていた。





そりゃ3つもありゃ眩しいわな・・・・







「って嘘ぉお!?」



なにこれなんだこれ!?

いくらなんでも俺の脳みその想像力豊かすぎるだろう。

なんで3つも月があるんだ?

そりゃああんなのが3つもあれば星なんて見えるわけもない。



なんだやっぱり夢か。

という結論にいたり。



再び寝る事を選択した。




















さて、いよいよこれはおかしいという結論に達してきている。

というのも再び目覚めた時には朝日がある程度の高さまで昇ってきていて、

今まで幾度となく寝起きと共に見上げていた天井は無い。

そこには、ただただ青空が広がっているだけだった。


携帯を確認してみてもやはり圏外であり、どことも連絡をとれそうにない。

それに”腹はすいてきているし、なにか飲み物も欲しいと感じている”

持っているカバンには飲食できそうなものは入っておらず、

ここでただぼうっとしているだけでは何も起こりそうにもない。



とりあえず、歩いてみよう。

迷っていてもしょうがないので、適当に方向を決め行動に移すことにした。







結構歩いた結果ではあるが、疲労と時間を引き換えに、

何かが何度も通った為に、草がえぐられ土が露出してできたであろう道。

としか表現できないやつを発見する事ができた。

発見時でも右に行こうか左にこうか少し迷ったが、左を選択した。



”お腹がすいた”

”喉がかわいた”



さっきからそれしか考える事ができない、度々口からも漏れている。

良く考えたら昨日の晩御飯すら食べていないのだ。

健全な男子高校生に夕・朝の2食抜きは拷問以外の何物でもないのではないか。

歩く速度は当然落ちてきている、というよりもダラダラ歩いている。

道はまだまだ続き、日は俺の真上で憎たらしいくらいの日光を浴びせ続けている。



はっきり断言しよう。

俺は疲れた。

そこのちょっと大きい木の下の陰で休むだけのご褒美があってもいいと思うのだ。

いや休む。

絶対休んでやる。

腰をおろし、木にもたれかかると、足にきていた自身の体重の負担が徐所に和らぐ。

日の上では全く感じなかった風も、やはり陰の下は涼しくて気持ちが良い。

それにしても近くに来てみればこの木やたら大きいな



なんて思いながら何気なく上を見上げた。




時間が制止した。




2つの大きな瞳があった。。

細長い舌が口から出し入れしながら、こちらを睨んでいるように見える。

全貌は見えないが、木のあちらこちらから見え隠れし、長く太く巨大だと理解させ

られた。

今まで歩いてきた道のりが走馬灯のようによぎった。

ここまでで何か動物らしき動きがあるものは見たか。

何か、食べられそうなものはあったのか。

見ていない。

そんなものは見ていない。

ただただ、広がる草原ばかりだった。



俺はお腹がすいている。


恐らくやつもすいている。



言葉すら発することなく、俺はその場から勢いよく飛び出した。

自分でも過去最高記録の反応速度だったように思える。

心臓の動悸は鳴りやまず、呼吸と共に耳鳴りになってもの凄く痛い。



【何かの音が鈍く鳴り響く】



太い幹を滑らかに動くソレは大きな蛇

なんてもんではない。

明らかに化け物としかいいようのない生物に思える。

かま首を持ち上げ、こちらを観察するように睨んでいる。



【鳴りがやまない】



ふと、自分のやっているゲームを思い浮かべた。

武器を用いて自分の数倍大きい蛇と戦う時もあるのだ。

初勝利時などは「よっしゃ!」なんて小さくガッツポーズなど行った気もする。


とんでもない。


あんな太い体で巻きつかれたら全身の骨が砕けるだろう

あんな大きな口で襲われたら丸のみにされるだろう

あんな鋭い牙で噛まれたら肉ごと断ち切られるだろう



剣で切る?槍で刺す?弓で射る?槌で叩き潰す?



【鳴りがやまない】



無理だ。

と勝手に理解した。



何故か理解できた。



”寒く感じる”、”暑く感じる”、”涼しく感じる”

”空腹”、”渇き”、”疲労”、”眩しさ”



全て夢ではなく、現実なんだと理解させられた。



【鳴りがやまない】



ふと気付いた。

何かがさっきから鳴っている。


携帯だ。

携帯が鳴っている。

電話が鳴っている。



ポケットから取り出し、いつも通りにロックを解・・・




意味不明な現象が目の前にあった。


携帯を手に取ったとたんに浮かび上がった。

携帯のロック画面をそのまま巨大化させた『映像』のようなものが目の前にある。

点をなぞるタイプのソレは、ひとつひとつの点が脈打つように点滅していた。

依然として携帯は鳴りやまず、コール音だけが鳴り響いている。

全く理解が追いつかないが、おそるおそる点をなぞろうと・・・、



『σκΨτЭ¶!!!』



なにかが、ヒュっと音をたて、顔の横を通り抜けた。

その音源は次々と、大蛇に突き刺さる。

なにかが、横を走り抜けていく。

見えたのは灰色の何かと、剣にしか見えない物体。


痛みからかのたうちまわる大蛇の首を両断する瞬間

灰色からのぞかせた姿は、太陽の光で銀色に輝く長い髪。

こちらを振り向く姿は凛とし、ただただ綺麗だなと、関心しながら

ああやっぱりこれは現実じゃねぇな、と、溜息をついてしまったのだった。


やりたい放題する、そう決めた。


偶数 プロローグ → 近々

② 22日投稿 

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