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孤立への過程
三香子は、転校初日から舞美と仲良くなった。毎日のようにお互いの家を行き来し、動物ファミリーで遊んだ。舞美がウサギの父・母・長男・長女。三香子はクマの父・母・長女の人形を持っていた。動物はみんな洋服を着ていて、二足歩行だ。立派な二階建の家で、お茶をしたり勉強したり、人間みたいな暮らしをする。二人とも動物ファミリーの「家」を持っていたので、家族ぐるみで“お付き合い”をして交流を深めていた、はずだった。やがて進級し、再び二人は同じクラスになった。
「よかった」
「また一緒だね」
三年二組の扉に貼られたクラス表の前で、手を取り合って喜んだ。そして二年生の頃と変わらずに、動物ファミリーで遊んだ。三香子はこれからも、舞美と仲良くやっていけると思っていた。