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屈辱の日その3
ドッヂボールは五時間目だったので、その後教室での終わりの会が控えていた。三香子は体育館から必死で走り、なんとか開始前に到着した。さっきの出来事について、また罵倒されるのを覚悟していたが、誰も何も言わなかったのでホッとした。終わりの会と教室掃除が済むと、三香子は逃げるように学校を出た。いつもならばダメ元で舞美に話しかけてから帰るが、その日はそんな余裕はなかった。
登校時には晴れていた空を、灰色の雲が覆っている。校門をくぐると車道に出る。その向こう側には、様々な住宅が連なっている。三香子は車が来ないのを確認すると、小走りで道を渡った。後は家々が立ち並ぶ小道を抜け、通りに出て右に曲がればすぐ自宅に着く。
(あとちょっとで家だ)そう安心した途端、涙が溢れだした。(なんで一人になっちゃったんだろう)三香子はそれ以上泣かぬよう、冷静に孤立までの経緯を思い返してみた。